警備員指導教育責任者2号業務
刑法
◎ 犯罪
○ 緊急避難
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- 国家が危急状態を救う余裕がないとき、私人自ら利益侵害から守ることを認める。
- 他人の不正行為によって利益侵害の状態が生じたとき。
- 他人の違法でない行為によって利益侵害の状態が生じたとき。
- 人の行為でない自然現象等によって利益侵害の状態が生じたとき。
- 緊急避難の許される場合は、正当防衛の場合に比べて要件が厳格。
刑法第七章 犯罪の不成立及び刑の減免
(緊急避難)
第三十七条 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
2 前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。
☆ 緊急避難の成立要件
自己又は他人の生命、身体、自由若しくは財産に対する現在の危難があること。
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- 「現在の危難」とは、危険が切迫していること。
- 「現在」=危難が差し迫っているか、正当防衛の要件としての「急迫」と同じ意味。
- 「危難」=法益に対する侵害、または侵害の危険のある状態。
*正当防衛との違い
- 不正=違法である必要がない
- 人の行為に限らず、自然現象、動物の動作などでも良い。
危難を避けるために行った行為であること。
- 避難の意思が必要
避難行為が「やむを得ずにした」ものであること。
- 「補充性の原則」=やむを得ずした避難行為がその危難を避けるための唯一の方法であって、他に手段がなかったことをいう。
- 補充性の原則の要件を満たさない場合は、過剰避難
避難行為から生じた害が避けようとした害の程度を超えないこと。
- 「法益権衡(ほうえきけんこう)の原則」=守る法益の価値が、侵害する法益の価値と同程度かそれ以上であること。
- 法益権衡の原則を満たさない場合は、過剰避難
○ 過剰避難
- 避難行為がその程度を超える場合をいう。補充性の原則の要件を満たさない場合と、法益均衡の原則の要件を満たさない場合とがあるがその他の緊急避難の要件は満たしている必要がある。
- 違法性は阻却されず犯罪として成立する。
- 過剰避難となる行為は、「情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。」
○ 緊急避難の特例
刑法第七章 犯罪の不成立及び刑の減免
(緊急避難)
第三十七条
2 前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。
「業務上特別の義務がある者」=警察官・消防職員・船長・船員・医師・看護師等、その業務の性質上一定の危難に身をさらす義務を負う者。
- 危険に身をさらす義務がある以上、他人の犠牲で自己の法益を救うことは許されない。
- 他人の法益を救うための緊急避難は許される。
- 本来の義務の履行と調和しない限りにおいては緊急避難は許される。
- 自己の法益を救う場合でも、自己の生命を救うため他人の軽微な法益を侵すことは許される。
*出典
・e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)
・e-Gov法令検索、刑法をもとに編集
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