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救急蘇生法2(指教責基本)

警備員指導教育責任者2号業務

◎ 傷病者に遭遇したときの留意事項

○ 現場状況の観察(二次災害の防止)

  • 周囲の状況が安全かどうかを確認、自分自身の安全を確保することは傷病者を助けることよりも優先される。

○ 傷病者の観察(反応の確認)

  1. まず・・出血は? 反応は? 呼吸は? 脈拍は?
  2. 次に・・骨折は? 傷は? その他

○ 出血の程度について

  1. 動脈性出血
    • 鮮やかな赤色の血液が勢いよく心臓の鼓動に合わせて出血する。自然に止血することは少なく、太い動脈では大量出血し、ショック死にいたる重症の出血。
  2. 静脈性出血
    • 暗赤色の血液がジワジワと湧き出るように出血する。太い静脈の出血は止血できにくく、出血性ショックになることがある。
  3. 毛細管出血
    • 毛細血管からの、にじみ出るような出血。出血部を圧迫すれば止血できる。
  4. 頭部からの出血は、傷の割りには出血の量が多く、はじめは多量でも次第に止まることが多いので落ち着いて手当をする。
  5. 体の内部の出血は、外部から見ただけでは分からない。顔や皮膚の色など、よく観察しておく。

○ 反応の確認について

* 反応の程度

  1. 軽い状態(意識混濁状態)
    • 耳元で大声で呼んでみると目を開けるがまわりの動きに興味がなくばんやりとし、氏名、生年月日も言えない。
  2. やや重い状態(半昏睡状態)
    • 耳元で大声で呼んでも反応はないが、 強くつねったりすると顔をしかめて嫌がるような動作を示す。
  3. 重い状態(昏睡状態)
    • 手足をつねっても全く反応を示さず、 まぶたをつついても反射的に動かず知らないうちに排尿したりする。
    • 応答しないからといって、 むやみに体をゆさぶったりたたいたりしない。

○ 意識レベルに関すること
* 意識レベルの判断に使用するスケール、Japan Coma Scale(JCS)より

1.刺激しないでも覚醒している状態

(1)意識清明とは言えない
(2)見当識障害がある
(3)自分の名前、生年月日が言えない

2.刺激すると覚醒する状態

(1)普通の呼びかけで容易に開眼する。
(2)大きな声または体を揺さぶることにより開眼する
(3)痛み刺激を加えつつ呼びかけを繰り返すと辛うじて開眼する

3.刺激しても覚醒しない状態

(1)痛み刺激に対して、払いのけるような動作をする
(2)痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめたりする
(3)痛み刺激に反応しない

*意識=意識レベル(覚醒度)と認知機能の2つの要素。

  • 意識清明=両方が正常に保たれた状態。
  • 意識障害=どちらか一方または両方とも障害された場合。
  • 意識の覚醒度は外的刺激に対する反応(開眼する、顔をしかめるなど)により計ることができる。
  • 意識の覚醒度が低下した状態を意識混濁と言う。
  • 意識レベルは意識清明が最も正常なレベル、次に傾眠、昏迷、半昏睡、昏睡となる。
    • 傾眠=軽い刺激を与えると覚醒するが、刺激がなくなると睡眠状態となる。
    • 昏迷=強い刺激によってのみ覚醒し、刺激がなくなると直ちに睡眠状態になる。
    • 半昏睡=強い痛み刺激にのみ、顔や手足が反応。
    • 昏睡=自発運動が全く見られない状態。

○気道確保の必要性と方法

  • 喉の奥を広げ、空気の通り道を確保すること。

*気道確保が必要な場合

①反応がない
②呼吸が停止している
③呼吸があっても胸の動きが不自然、ゴロゴロやヒューヒューという音が聞こえる場合

*「頭部後屈あご先挙上法」

  • 片手で傷病者の額を押さえながら、もう一方の手の指先を傷病者のあごの先端、骨のある硬い部分に当てて押し上げる。
  • これにより傷病者の頭部が後屈され、顔がのけぞるような姿勢になる。

○呼吸の見方について

  • 約10秒間観察しても呼吸の状態がよく分からない場合は、正常な呼吸はない(心停止とみなす)ものと判断する。
  • 心停止が起こった直後は、死戦期呼吸(しやくりあげるような呼吸が途切れ途切れに起こる呼吸)が見られる場合がある。これも正常な呼吸ではない。
  • 呼吸をしていない、死戦期呼吸がある場合は、「心肺停止」と判断し、胸骨圧迫を直ちに開始

○脈拍の確認

  • 日常的に蘇生を行う者の場合は、呼吸の確認と同時に頸動脈で脈拍を確認することが原則。
  • 正常な脈拍数は、成人で1分間に60〜80回、小児で80~ 100回

○骨折の見方

  • 腫れがひどい、動かしたり触れたときに激しい痛みがある、骨折の疑いがあると判断する。

○瞳孔

  • 瞳孔径は、ペンライトの光を当てる前の室内の明かりの状態で測定。
  • 瞳孔は、心臓や中枢神経系の状態の指標。
  • 左右の瞳孔の輪郭が、規則正しく同じ大きさで光に反応するのが正常。
  • 正常な瞳孔は円形で、大きさは2.5~4.0㎜の左右対称であることが基本

① 散瞳(瞳孔が開いている)

  • 眩しい光の下でも過度に広がったまま。疾患や薬物、外傷によって瞳孔が過度に拡大する現象。神経系の障害・酸欠・血圧の低下。

② 縮瞳(瞳孔が著しく縮小している)

  • 瞳孔は暗闇の下でも過度に狭まったまま。疾患や薬物、外傷によって瞳孔が過度に縮小する現象。

③ 不同、共同偏視(大きさが左右で異なる、両眼とも右又は左に偏っている)

  • 脳の中に異常(脳外傷・脳卒中)

○救急蘇生法の手順について
*教本ではこう教えている(平成28年改訂版)
① 傷病者の発生、発見
② 安全の確保
③ 反応があるか?
・ある場合→応急手当て
・ない場合→一次救命処置

救急蘇生法の指針 2020 市民用 では。

◎ 主に市民が行う一次救命処置(BLS)の手順

JRC蘇生ガイドライン2020(日本蘇生協議会)
P.20 図1「市民用BLSアルゴリズム」より

救急蘇生法については、救急蘇生法の指針 2020 市民用 を、ぜひ参照してください。

 

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その他の、指教責2号項目一覧

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