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警備業務に関する基本的な事項 Ⅲ(雑踏2級)

雑踏警備業務2級検定項目
(令和版)

第1章 警備業務に関する基本的な事項

第1節 警備業務実施の基本原則に関する専門的な知識

3 警備業法第15条

◯警備業者及び警備員が警備業務を行うに当たって守るべき基本原則

警備業法
第三章 警備業務
(警備業務実施の基本原則)
第十五条 警備業者及び警備員は、警備業務を行うに当たつては、この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意するとともに、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。

 警備業法により特別に権限を与えられているものでないことに留意する。

・警備業務が、公的権限を行使し得る警察業務とは本質的に異なるものであり、その業務実施に当たっては、あくまでも私人のいわゆる「管理権」等の範囲内で行わなければならないことを注意的に定める。 (注意規定という) 

 他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない。

 ・刑罰法令等に触れない場合であっても、他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に不当な影響を及ばす行為は、すべてこれを禁止することを定める。(禁止規定という) 

☆警備業者及び警備員が警備業務を適正に行うためには、法令で保護されている「他人の権利及び自由」、「個人若しくは団体の正当な活動」について十分に理解する必要がる。

◎行き過ぎ等による違法、不当事案を防止するための留意事項

ア. 職務質問禁止
・警備業務対象施設内等において、不審な人物を発見した場合は、施設管理権に基づき、私人として許される範囲内で質問等を行えるだけであり、警察官が行う職務質問のような特別の権限はない。

イ. 取調べ禁止 
・現行犯人を逮捕した場合、犯人の所持品や身元等を調べたりすることは一切許されず、また、逮捕後は直ちに警察官等へ引き渡さなければならない。

ウ. 交通整理禁止
・警備員の行う交通誘導警備業務は、通行者の協力を得て行う任意のものであり、道路交通法の規定により警察官等が行う交通整理のような強制力はない。

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警備業法等の解釈運用基準(警察庁)より

第13 警備業務実施の基本原則(法第15条関係)
1 法第15条前段の意義
 法第15条中「この法律により特別に権限を与えられているものでないことに留意する」とあるのは、警備業務が他人の身体、財産等の保護を行うものであることから一見警察業務と類似性を有するが、警備業務は営利を目的として特定人の依頼に基づいて特定人のためにのみ行うもので、公共の安全と秩序の維持に当たる警察業務とは本質を異にするものであり、その業務実施に当たっては、飽くまでも、私人のいわゆる管理権等の範囲内で行われるべきものであることを注意的に規定したものである。したがって、法の運用に当たっては、この趣旨を踏まえ、警備業者及び警備員が警備業務を行うに当たって特別の権限を有するものでないことに留意すること。

2 法第15条後段の意義
法第15条中「他人の権利及び自由を侵害し、又は個人若しくは団体の正当な活動に干渉してはならない」とあるのは、刑罰法令等に抵触する行為はもとより、他人の権利及び自由を侵害する行為のほか、必ずしも明白な権利侵害に当たらない場合であっても個人又は団体の正当な活動に不当な影響を及ぼす行為については、これを禁止する趣旨である。正当な活動への干渉に当たる場合の一般的基準は、相手の行為が合法的な活動であって、これに対し警備員等が威圧的言動その他の積極的行為を行い、その行為が周囲の諸状況から判断して相当性を欠くと認められるものである場合である。相手の行為が違法なものである場合には干渉行為があっても正当な活動への干渉が行われたことにはならないが、その行為が限度を超え過剰防衛等に該当するに至った場合には他人の権利自由の侵害に当たることに留意すること。

法第15条違反となる具体例を示すと、次のようなものである。
○ 労働組合の適法な集会、デモ行進等の周辺で、大勢で長時間ば声を浴びせ、つばを吐きかけるなどの嫌がらせをすること
○ デパートで買物中の客に対し、疑うべき具体的な理由がないのにもかかわらず、携帯品の提出を求め、窃取したものでないことの証明を求めること
○ 依頼者の店頭に違法駐車をした者に対し、長時間の説教をし、又は始末書の提出を求めること
○ 窃盗犯人を現行犯逮捕して、長時間にわたり、所持品、身元等について調べること

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警備業法15条、前段(警備業務実施の基本原則)
警備業法15条、後段(警備業務実施の基本原則)

出典
警察庁ホームページ(https://www.npa.go.jp/)
警備業法等の解釈運用基準(警察庁)(https://www.npa.go.jp/laws/notification/seian/seiki/20190904seianki23.pdf)

次は、警備業務に関する基本的な事項 Ⅳ(雑踏2級)

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