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法令に関することⅢ、刑法2(雑踏2級)

雑踏備業務2級検定項目
(令和版)

第2章 法令に関すること

第1節 法その他警備業務の実施の適正を確保するため必要な法令に関する専門的な知識

3 刑法

  • 社会秩序に反し、個人や社会の利益を侵害する行為で、刑法に定める構成要件に該当する違法で有責な行為を犯罪という。

⑴ 違法性阻却事由

  • 刑法で定める犯罪の構成要件に該当する、法に違反する違法行為であっても、違法ではなくなる特別な事情があり、悪くない(違法とされない)場合のことを言う。
  • 刑法には、違法性阻却事由として、正当防衛、緊急避難などが規定されている。

◯ 緊急避難についての概略的知識

(緊急避難)

第三十七条 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
 前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。
  • 正当防衛と同じように、危難にひんする権利を救うためにする行為が許される場合の一つ。
  • 危難の対象が不正なものに限らないため、正当防衛の場合に比べて要件が厳格。

*現在の危難

☆自己又は他人の生命、身体、自由又は財産の侵害の危険が切迫している状態。

  1. 他人の違法な行為によって生じた、現在の危難を避けるために行った行為

  2. 他人の違法でない行為によって生じた、現在の危難を避けるために行った行為

  3. 人の行為によらず、自然現象や動物の動作などによって生じた、現在の危難を避けるために行った行為

☆以上の避難行為が第三者の権利を侵害した時が対象となります。

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*法益の権衡(けんこう)

☆避難行為から生じた害が避けようとした害の程度を超えないことが必要。

  • 程度を超えた場合は、「過剰避難」として刑罰の対象となり、情状によりその刑を減軽又は免除することができる。

*緊急避難の補充性

  • 危難を避けるために他の方法がなかったときに限って補充的に許される手段という意味。
  • 避難行為は、やむを得ずにしたものであること、その危難を避けるために現実的可能性のある方法として唯一の方法であって、他に方法がなかったことを必要とする。
  • 他に適切な避難の方法があれば、その方法をとる必要がある。
  • そうでない場合は、「過剰避難」として刑罰の対象となり、情状によりその刑を減軽又は免除することができる。

*業務上特別の義務

  • 緊急避難の要件に当てはまる場合でも、業務の性質上、危難に立ち向かうべき義務のある者は、一般人と同じように緊急避難行為をすることは許されない。
  • みだりに義務遂行を怠ることは許されないが、社会通念上、危難の内容、程度がその義務を超えている場合には、適用を認められる場合もある。

  • 火災発生の際に避難誘導業務に従事する警備員が他の者を突き飛ばして逃げるような行為は、緊急避難行為とは認めにくい。

関連問題

問題224、正当防衛及び緊急避難(雑踏2級)

問題225、正当防衛及び緊急避難(雑踏2級)

問題226、正当防衛及び緊急避難(雑踏2級)

問題319、刑法、正当防衛と緊急避難(雑踏2級)

問題320、正当防衛と緊急避難(雑踏2級)

問題321、緊急避難(雑踏2級)

次は、法令に関することⅣ、刑事訴訟法(雑踏2級)

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