スポンサーリンク

救急蘇生法の意義と重要性(交通2級)

交通誘導警備業務2級検定項目
(平成30年版)

Ⅱ. 事故の発生時における負傷者の救護及び道路における危険の防止のための措置を行うため必要な事項に関する専門的な知識

1 救急蘇生法の意義と重要性
・警備業務はその業務の性格上、一般の人に比べて事件、事故等による負傷者に遭遇する可能性大。
・警備員は負傷者に対し適切な措置をとることが社会的に期待される立場にある。
・日頃から救急蘇生法について正しい知識と技能の向上に努め、不測の事態に備える必要がある。

① 救急蘇生法
救急蘇生法を図で示すと以下のようになります。

・一次救命処置(BLS)とは、心臓や呼吸が止まってしまった人を助けるために心肺蘇生を行ったり、AEDを使ったりする緊急の処置のことを指す。
・喉に詰まった物(異物)を取り除くための方法(気道異物除去法)も一次救命処置に含まれる。

○「ファーストエイド」とは
・急な病気やけがをした人を助けるためにとる最初の行動。
・一次救命処置以外の急な病気やけがをした人を助けるために行う最初の行動。
・熱中症への対応や出血に対する圧迫止血なども含まれる。

*「応急手当」という言葉は心肺蘇生などの心停止への対応も含めた意味に使われることも多いため、心停止への対応は含まないものとしてファーストエイドという言葉を選択。

② 救急蘇生法の重要性
・急変した傷病者を救命し、社会復帰させるために必要となる一連の行いを「救命の連鎖」という。
・「救命の連鎖」を構成する4つの輪がすばやくつながると救命効果が高まる。
・「救命の連鎖」における最初の3つの輪は現場に居合わせた者によっていち早く行われることが重要。
・心肺蘇生やAEDの使用を素早く行うことで、生存率や社会復帰率が高まる。

救命の連鎖

心肺蘇生の前に
・誰かが突然倒れるところを目撃したり、倒れているところを発見した場合は、まず周囲の状況が安全かどうかを確認する。
・自分自身の安全を確保することは傷病者を助けることよりも優先される。

③ 反応の確認
・周囲の安全が確認できたら、傷病者の反応を確認する。
・傷病者の肩をやさしくたたきながら大声で呼びかけたときに目を開けるなどの応答や目的のある仕草があれば、反応があると判断する。
・突然の心停止が起こった直後には引きつるような動き(けいれん)が起こることもあるが、この場合は呼びかけに反応しているわけではないので、「反応なし」と判断する。
・「反応なし」と判断した場合や、その判断に自信が持てない場合は、心停止の可能性を考えて行動する。
・「誰か来てください! 人が倒れています!」などと大声で叫んで応援を呼ぶ。
・そばに誰かがいる場合は、その人に119番通報をするよう依頼する。
・近くにAEDがあれば、それを持ってくるよう依頼する。
・できれば「あなた、119番通報をお願いします」「あなた、AEDを持ってきてください」など、具体的に依頼する。

④ 呼吸状態の確認
・胸と腹部の動き(呼吸をするたびに上がったり下がったりする)を見る。
・胸と腹部が動いていなければ、呼吸が止まっていると判断する。
・呼吸の観察には10秒以上かけない。約10秒かけても判断に迷う場合は、心停止とみなす。
・反応はないが普段どおりの呼吸がある場合には、様子を見ながら応援や救急隊の到着を待つ。

⑤ 胸骨圧迫
・胸の左右の真ん中に「胸骨」と呼ばれる縦長の平らな骨があり、圧迫するのはこの骨の下半分。
・この場所を探すには、胸の真まん中(左右の真ん中で、かつ、上下の真ん中)を目安にする。

胸骨圧迫をする場所

・胸骨の下半分に一方の手のひらの基部(手掌基部)を当て、その手の上にもう一方の手を重ねて置く。
・重ねた手の指を組むとよい。
・圧迫は手のひら全体で行うのではなく、手のひらの基部(手掌基部)だけに力が加わるようにする。
・指や手のひら全体に力が加わって肋骨が圧迫されるのは好ましくない。
・垂直に体重が加わるよう両肘をまっすぐに伸ばし、圧迫部位(自分の手のひら)の真上に肩かたがくるような姿勢をとる。

圧迫の方法

・傷病者の胸が約5cm沈み込むように強く、速く圧迫を繰り返す。
・小児では胸の厚さの約1/3沈み込む程度に圧迫する。
・成人でも 小児でも、こわごわと圧迫したのでは深さが足りずに十分な効果が得られない。
・体が小さいため両手では強すぎる場合は片手で行う。
圧迫のテンポは1分間に100~120回。
・胸骨圧迫は可能な限り中断せずに、絶え間まなく行う。
・圧迫と圧迫の間(圧迫を緩めている間)は、胸が元の高さに戻るように十分に圧迫を解除することが大切。
・圧迫を解除するために自分の手が傷病者の胸から離れると、圧迫位置がずれることがあるので注意する。
・手伝ってくれる人がいる場合は、1~2分を目安に交代。交代による中断時間はできるだけ短くする。
・人工呼吸の技術を身につけていて、人工呼吸を行う意思がある場合には、胸骨圧迫に人工呼吸を組み合わせる。
胸骨圧迫と人工呼吸の回数は30:2とし、この組み合わせを救急隊員と交代するまで繰り返す。
・人工呼吸に自信がない場合や、人工呼吸を行うために傷病者の口に直接接触することにためらいがある場合には、胸骨圧迫だけを続ける。
・AEDを使用する。
・AEDを使用する場合も、AEDによる心電図解析や電気ショックなど、やむをえない場合を除いて、胸骨圧迫をできるだけ絶え間なく続ける。
・傷病者に普段どおりの呼吸が戻って呼びかけに反応したり、目的のある仕草が認められた場合は心肺蘇生をいったん中断。
・判断に迷うとき、呼吸が止まったり、普段どおりでない呼吸に変化した場合は ただちに心肺蘇生を再開。

⑥ 人工呼吸
気道確保
・喉の奥を広げ、空気の通り道を確保する。
・片手で傷病者の額を押さえながら、もう一方の手の指先を傷病者のあごの先端、骨のある硬い部分に当てて押し上げる。
・このとき、あごの下の軟らかい部分を指で圧迫しないよう注意。

頭部後屈あご先挙上法による気道確保

・頭部後屈あご先挙上法で傷病者の気道を確保したまま、口を大きく開いて傷病者の口を覆って密着させ、息を吹き込む。
・吹き込んだ息が傷病者の鼻から漏れ出さないように、額を押さえているほうの手の親指と人差し指で傷病者の鼻をつまむ。
・息は傷病者の胸が上がるのが見てわかる程度の量を約1秒間かけて吹き込む。
・吹き込んだら、いったん口を離し、傷病者の息が自然に出るのを待ち、もう一度、口で傷病者の口を覆って息を吹き込む。
・2回息を吹き込んだときに2回とも胸が上がるのが目標ですが、うまく 胸が上がらない場合でも、吹き込みは2回までとする。
・2回の吹き込みを行う間は胸骨圧迫が中断されますが、その中断は10秒以上にならないようにする。
・口対口人工呼吸による感染の危険性はきわめて低いといわれていますが、手元に感染防護具がある場合は使用する。


参考
厚生労働省ホームページ (https://www.mhlw.go.jp/index.html)
救急蘇生法の指針2015(市民用)(https://www.mhlw.go.jp/file/06-Seisakujouhou-10800000-Iseikyoku/0000123021.pdf)
上記を加工して作成

コメント