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良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する中間報告書2

  • 警察庁から、良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する中間報告書(令和5年12月良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する有識者検討会)が発表されています。
  • 今後、交通誘導警備業務、雑踏警備業務の実施現場にて、自転車に対する誘導方法に注意しなければならない事項が出るかもしれませんので注視して行きたいと思います。

【自転車を取り巻く現状】

1、政府の自転車に対する考え方と取組の現状

 自転車は、広く国民に普及する交通手段である上、その活用が環境負荷の低減や災害時における交通機能の維持、国民の健康増進等の我が国が抱える重要な諸課題への対応方策として有用であることから、平成28年に「交通の安全の確保を図りつつ、自転車の利用を増進し、交通における自動車への依存の程度を低減することによって、公共の利益の増進に資すること」等を基本理念とする自転車活用推進法が制定された。また、同法に基づく特別の機関として自転車活用推進本部を設置し、自転車の活用を総合的かつ計画的に推進することとされた。

 平成30年には、同法に基づく「第1次自転車活用推進計画」が策定され、関係府省庁・官民が連携しながら自転車の活用の推進に係る各種施策に取り組んできたところ、現在は、昨今の社会情勢の変化等を踏まえて策定された「第2次自転車活用推進計画」の計画期間中(令和3年度から令和7年度まで)であり、当該計画に基づき、各種施策を推進している。当該計画においては、自転車の活用の推進に関する目標として以下の4つが掲げられている。

目標1:自転車交通の役割拡大による良好な都市環境の形成

目標2:サイクルスポーツの振興等による活力ある健康長寿社会の実現

目標3:サイクルツーリズムの推進による観光立国の実現

目標4:自転車事故のない安全で安心な社会の実現

  • 目標4に関して、具体的に実施すべき施策として、次のものが掲げられている。
    • 交通安全意識の向上に資する広報啓発活動の推進や指導
    • 取締りの重点的な実施
    • 学校等における交通安全教室の開催等の推進

 これらの目標を達成し、持続可能な社会を実現するためには、自転車活用の推進をより一層図ることが必要であり、警察においても、自転車の安全な利用を促すための取組が推進されている。

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2、自転車関連交通事故の情勢

 令和4年中の交通事故件数は 30万839件、交通事故による死者・重傷者数は 2万8,637人(死者 2,610 人、重傷者 2万6,027人)と一貫して減少傾向にあるところ、自転車関連交通事故についても、令和4年中の事故発生件数は 6万9,985 件、自転車乗用中の死者・重傷者数は 6,659人と、おおむね減少傾向にあるところである。

・自転車関連交通事故:自転車乗用者が第1当事者・第2当事者となった事故を計上。ただし、自転車相互の事故は1件 として計上。

・重傷者数:自転車乗用者が第1当事者・第2当事者となった事故を計上。

・減少傾向:ただし、自転車関連交通事故の発生件数は、令和3年以降増加に転じている。令和2年:6万7,673件 令和3年:6万9,694件 令和4年:6万9,985件

 他方で、交通事故全体の発生件数のうち自転車関連交通事故が占める割合は増加 (平成28年:18.2%→令和4年:23.3%)しており、自転車対歩行者事故の発生件数についても近年増加傾向にある(参考資料1)。

・近年増加傾向:自転車が第1当事者・歩行者が第2当事者の事故又は歩行者が第1当事者・自転車が第2当事者の事故を計上。令和2年2,634件 令和3年2,733件 令和4年2,905件

資料1-1

資料1-2

 加えて、自転車乗用中の死亡・重傷事故においては、発生件数(令和4年:7,107件)の約4分の3に自転車側の法令違反が認められる状況であり、法令違反の内容としては、安全運転義務違反、交差点安全進行義務違反、一時不停止がその大半を占めている(参考資料2)。

資料2

 ただし、自転車側に法令違反があった場合においても 自動車側のほぼ全てに法令違反が認められることから、自動車の運転者に対してもより一層のルール遵守を求めるための取組を強化する必要がある。

3、自転車の交通ルール等に対する国民の認識

 警察庁は、自転車の交通ルール等に対する国民の認識について把握するため、令和5年にアンケート調査を実施した。

 結果としては、自転車乗用中の携帯電話使用、車道通行の原則、自転車横断帯がある場合の当該横断帯による横断義務等に関する正誤問題では、正答率が回答者の7割から9割と高く、基本的な交通ルールが正しく認識されていることが明らかとなった。

 他方で、「自身がそれらの交通ルールを守ることができているか」という問に対しては、「交通ルールを守ることができている」と回答した者の割合が、「正しい交通ルールを認識している」と回答した者の割合を下回る結果となっており、正しい交通ルールを認識しているにもかかわらずルールを守っていない層が一定数存在する、という状況が浮き彫りとなった(参考資料3)。

資料3

◎ 出典

  • 警察庁ウェブサイト(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/council/index.html)
  • 「良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する中間報告書」(警察庁)(https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/bicycle/kentokai/04/chuukanhoukokusyo-honbun.pdf)を加工して作成。

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