夏の日の道の駅での駐車場警備
暑い
車の発する熱で
アスファルトの上は40度は超えている
連休で賑わう道の駅
車内では快適な笑顔が溢れている
休憩が回ってきたので一休み
日陰のベンチに腰掛けて
冷たい麦茶を一気に飲み干す
生ぬるい風が吹いている
夜勤明けの頭はボーッとしている
それでも少しはホッとできる数分間である
目の前の屋根のついた身障者用の駐車場では
きちっとした身なりの60才ぐらいの夫婦が
道の駅で購入したのか
トランクを開け、たくさんの荷物を整理している様子
100台近い駐車場に
思いやり駐車場は2台分
車は、よく社長さんが乗っている国産の高級車
かなり長い時間ここに止まっている
車椅子マークのステッカーは貼っていない
思いやり駐車場利用証も下げていない様子
足の悪いおばあさんでも待っているのかな？
荷物の整理が終わった様子
バタン バタン とドアが閉まり
二人で乗り込みスーッと走り始めた
私は休憩用の椅子を手に車に走りより
おもいっきり
なんどもなんども車に椅子を叩きつけた
自分でもよくわからない罵声を浴びせながら
驚いて車から降りてきた夫婦にも・・・
つい数時間前
身障者駐車場利用証を持った車のドライバーから
一般の車が止まっているからなんとかしろよ、と
苦情をぶつけられていた
フロントガラスは割れ ボディーは凹み
車の脇には夫婦が倒れている
気がつけば椅子を持っていた手には手錠がはめられていた
空を見上げようとした瞬間
頭にガツーンと衝撃が・・・
気がつくと座っていたベンチの横の柱の角に頭をぶつけた様子
ほんの一時、居眠りをしていた
手に持っていたペットボトルが足元に転がっている
あっ 今、夢の中でボコボコにした車が
逆走方向に発進してゆく
混んでいて危ないので無線で同僚に伝えた
同僚が注意しようとしたところ
ドライバーは、そんなことわかっているよ と言いながら
無理やり逆走方向に
車の間をすり抜けながら走り去っていった
交通誘導警備員は
他人の自由を侵害してはならない
駐車場警備でトラブルを起こしてはいけない
お客様は神様です
他人がモラルを破る自由も侵害してはならないのか
残されたのは、表現の自由だけ？
休憩が終わり配置についた
アスファルトに落ちた汗が一瞬で消えたなくなった
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