警備員指導教育責任者2号業務
◉刑事訴訟法、現行犯逮捕
憲法 第33条
何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、権限を有する司法官憲が発し、且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、逮捕されない。
刑事訴訟法 第213条
現行犯人は、何人でも、逮捕状なくしてこれを逮捕することができる。
◎ 準現行犯人
刑事訴訟法 第212条 現に罪を行い、又は現に罪を行い終った者を現行犯人とする。
2 左の各号の一にあたる者が、罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるときは、これを現行犯人とみなす。
一 犯人として追呼されているとき。
二 贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
三 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
四 誰何されて逃走しようとするとき。
☆本来の現行犯人ではないが、現行犯人と同一に取り扱う。
① 犯人として追呼されているとき。
- その者が犯人であることを明確に認識している者によって,犯人として追われ,又は呼ばれている。
- 犯罪終了後から継続して追呼されている。
○ 追呼されている形態
- 犯人として単に追跡されている(無言で追いかけられている)。
- 犯人として単に呼称されている(追跡はされず、後方から「泥棒」「泥棒」と呼ばれている)。
- 犯人として呼称されつつ、追跡されている。
- 追呼は必ずしも連続的に行われている必要はなく、中断があっても、犯人の逃走経路の状況、中断時の長短等からみて、犯人の同一性が客観的に担保されていると認められれば、追呼にあたる。
② 贓物又は明らかに犯罪の用に供したと思われる兇器その他の物を所持しているとき。
「贓物」
- 財産犯(窃盗、強盗、詐欺、横領等)によって不法に領得された財物で、被害者が法律上返還請求することのできるもの。
「兇器」
- 人を殺傷すべき特性を有する一切の物。性質上の兇器、用法上の兇器(社会通念上人が危険感を抱くもの)。
「その他の物」
- 窃盗の合鍵、ドライバー等の侵入用具など。
○ 物と犯罪の結びつきが客観的に明らかである事。
「所持」
- 事実上の支配下にある事、身に付けているとか、携帯しているなどの方法によって身辺に極めて接着させた状態で保管していること。
③ 身体又は被服に犯罪の顕著な証跡があるとき。
- 身体の負傷、被服の破損、血痕の付着など。
- 犯罪の顕著な証跡にあるか否かの判断に、手配等によって得た情報でも良い。
- 犯罪の顕著な証跡のある準現行犯と認定するには、犯罪の証跡が、目撃者の証言、犯行現場の状況などから明らかであることが必要。
- 犯人の自供によって、犯罪と証跡の関係を確認したときは、準現行犯とは認められない。
④ 誰何されて逃走しようとするとき。
「誰何」
- 誰何とは声をかけて,だれかと名を問いただすこと。呼びとがめること。
- 不審者が、「だれか、どこへ行くのか」と質問されながら、返答もせず突然逃げ出したような場合。
- 質問しようとしたところ急に逃げ出す場合や警備員の姿を見て逃げるような場合もこれに当たる。
- 明白性上の問題・・・犯行との結びつきが薄い要件であり、犯人に関する情報、犯行との時間的・場所的関係、犯人の挙動、携帯品等を総合的に判断する必要がある。
◎ 罪を行い終つてから間がないと明らかに認められるとき。
- 犯行との時間的接着性が必要。
- 犯罪及び犯人の明白性が必要。
- 犯罪終了後3〜4時間以内である(実務的相場)
- 犯行現場からの場所的(距離的)接着性も間接的に考慮する。
☆ 準現行犯人の判断には、非常に高度な法律的判断が必要
- 一歩間違えると人権侵害行為となり、逮捕者が逆に刑事責任を問われることになるため、準現行犯人の扱いには慎重を要する。
*できる限り早く警察に通報し、逮捕行為は警察官に任せることが望ましい。
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