警備員指導教育責任者2号業務
◉2号警備業務を適正に実施するための関係法令
◎ 職業安定法
1. 労働者供給事業
- 「労働者供給」とは、雇用契約その他実質的支配関係にある労働者を、供給契約に基づき、他人の指揮命令の下に労務に従事させることをいう。
- 「労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律」(労働者派遣法)に基づいて行われる労働者派遣事業は、この労働者供給には該当しない。(職業安定法第4条第6項)
- 労働者供給事業を行い又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。(職業安定法第44条)
- 厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。(職業安定法第45条)
- 「職業紹介」とは、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあつせんすることをいう。労働基準法第6条にて、「中間搾取の排除」 として、 他人の就業に介入して利益を得てはならないと規定している。
◎ 労働者供給事業の原則禁止
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- 何人も、労働組合等が、厚生労働大臣の許可を受けた場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。
◯ 職業安定法の目的
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- 憲法に定められた労働者の基本的人権を尊重しつつ、各人にその有する能力に適合する職業に就く機会を与え、及び産業に必要な労働力を充足し、もって職業の安定を図るとともに、 経済及び社会の発展に寄与する。
⑴ 原則禁止の趣旨
- 労働者供給事業は本来労働者の基本的権利を侵害し労働の民主化を阻害するおそれが大きい。
◯ 強制労働の弊害
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- 労働者供給事業において、労働者供給事業を行う者の一方的な意思により、労働者の自由意思を無視して労働させる。
◯ 中間搾取の弊害
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- 支配従属関係を利用して本来労働者に帰属すべき賃金を労働者供給事業を行う者が自らの所得としてしまう。
職業安定法(法律の目的)
第一条 この法律は、労働施策の総合的な推進並びに労働者の雇用の安定及び職業生活の充実等に関する法律(昭和四十一年法律第百三十二号)と相まつて、公共に奉仕する公共職業安定所その他の職業安定機関が関係行政庁又は関係団体の協力を得て職業紹介事業等を行うこと、職業安定機関以外の者の行う職業紹介事業等が労働力の需要供給の適正かつ円滑な調整に果たすべき役割に鑑みその適正な運営を確保すること等により、各人にその有する能力に適合する職業に就く機会を与え、及び産業に必要な労働力を充足し、もつて職業の安定を図るとともに、経済及び社会の発展に寄与することを目的とする。
2. 職業紹介事業の種類等
⑴ 有料職業紹介事業
- 職業安定法第30条の規定により厚生労働大臣の許可を受けて、同法第32条の11に規定する求職者に紹介してはならないとされる職業以外の職業について、労働者保護のルールを踏まえた適正な職業紹介の実施に必要な能力等についての審査を伴う許可制の下で認められているものである。
- 具体的には、無料職業紹介以外の職業紹介を行う事業、営利を目的とするか否かにかかわらず、職業紹介に関し、対価を徴収して行う職業紹介事業をいう。
⑵ 無料職業紹介事業
- 無料職業紹介事業を一般の者が行う場合には、職業安定法第33条の規定により厚生労働大臣の許可を受け て、また、学校教育法第1条の規定による学校、専修学校等の施設の長又は特別の法律により設立さ れた法人のうち一定のもの(以下「学校等」という。)が行う場合には、職業安定法第33条の2又は同法第33 条の3の規定により厚生労働大臣に届け出ることにより、無料職業紹介事業を行うことができるものである。
- 地方公共団体は同法第29条の規定により無料職業紹介事業を行うことができる。
(定義)
第四条 この法律において「職業紹介」とは、求人及び求職の申込みを受け、求人者と求職者との間における雇用関係の成立をあつせんすることをいう。
② この法律において「無料の職業紹介」とは、職業紹介に関し、いかなる名義でも、その手数料又は報酬を受けないで行う職業紹介をいう。
③ この法律において「有料の職業紹介」とは、無料の職業紹介以外の職業紹介をいう。
④ この法律において「職業指導」とは、職業に就こうとする者に対し、実習、講習、指示、助言、情報の提供その他の方法により、その者の能力に適合する職業の選択を容易にさせ、及びその職業に対する適応性を増大させるために行う指導をいう。
⑤ この法律において「労働者の募集」とは、労働者を雇用しようとする者が、自ら又は他人に委託して、労働者となろうとする者に対し、その被用者となることを勧誘することをいう。
⑥ この法律において「募集情報等提供」とは、労働者の募集を行う者若しくは募集受託者(第三十九条に規定する募集受託者をいう。以下この項、第五条の三第一項及び第五条の四第一項において同じ。)の依頼を受け、当該募集に関する情報を労働者となろうとする者に提供すること又は労働者となろうとする者の依頼を受け、当該者に関する情報を労働者の募集を行う者若しくは募集受託者に提供することをいう。
⑦ この法律において「労働者供給」とは、供給契約に基づいて労働者を他人の指揮命令を受けて労働に従事させることをいい、労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号。以下「労働者派遣法」という。)第二条第一号に規定する労働者派遣に該当するものを含まないものとする。
⑧ この法律において「特定地方公共団体」とは、第二十九条第一項の規定により無料の職業紹介事業を行う地方公共団体をいう。
⑨ この法律において「職業紹介事業者」とは、第三十条第一項若しくは第三十三条第一項の許可を受けて、又は第三十三条の二第一項若しくは第三十三条の三第一項の規定による届出をして職業紹介事業を行う者をいう。
⑩ この法律において「労働者供給事業者」とは、第四十五条の規定により労働者供給事業を行う労働組合等(労働組合法による労働組合その他これに準ずるものであつて厚生労働省令で定めるものをいう。以下同じ。)をいう。
⑪ この法律において「個人情報」とは、個人に関する情報であつて、特定の個人を識別することができるもの(他の情報と照合することにより特定の個人を識別することができることとなるものを含む。)をいう。
(労働者供給事業の禁止)
第四十四条 何人も、次条に規定する場合を除くほか、労働者供給事業を行い、又はその労働者供給事業を行う者から供給される労働者を自らの指揮命令の下に労働させてはならない。
(労働者供給事業の許可)
第四十五条 労働組合等が、厚生労働大臣の許可を受けた場合は、無料の労働者供給事業を行うことができる。
職業安定法(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=322AC0000000141)
労働者派遣法(労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律)(https://elaws.e-gov.go.jp/document?lawid=360AC0000000088)
厚生労働省ホームページより(https://www.mhlw.go.jp/)
労働者供給事業業務取扱要領(https://www.mhlw.go.jp/content/11600000/000524417.pdf)
労働者供給事業(労供事業)とは(https://www.mhlw.go.jp/file/05-Shingikai-11601000-Shokugyouanteikyoku-Soumuka/0000093580.pdf)
3. 労働者供給事業と請負
◯ 労働者を提供しこれを他人の指揮命令を受けて労働に従事させる者は、例えその契約の形式が請負であっても、次のすべてに該当する場合を除き、労働者供給事業を行う者とされる。
(労働者派遣法第2条第3号に規定する労働者派遣事業を行う者を除く)
(職業安定法施行規則第4条第1項)
- 作業の完成について事業主としての財政上及び法律上のすべての責任を負うものであること。
- 作業に従事する労働者を、自己の責任において作業上及び身分上、直接指揮監督をするものであること。
- 作業に従事する労働者に対し、使用者として法律に規定されたすべての義務を負うものであること。
- 自ら提供する機械、設備、器材若しくは作業に必要な材料等を使用し、又は企画若しくは専門的な技術若しくは専門的な経験を必要とする作業を行うものであって、単に肉体的な労働力を提供するものでないこと。
◎前記のすべてに該当する場合でも、それが法44条の規定に違反することを免れるため故意に偽装されたものであり、その事業の目的が労働者供給にあるときは、職業安定法第4条第6項の労働者供給の事業を行う者であることを免れることはできない。(職業安定法施行規則第4条第2項)
4. 労働者派遣事業と請負
⑴ 労働者派遣
- 自己の雇用する労働者を当該雇用関係のまま、かつ、他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させることを労働者派遣という。(労働者派遣法第2条)
- 人材の派遣は、職業安定法第44条が原則的に労働者供給事業を禁止していることから、派遣先の業務とは別個に、派遣先において独立して業務を処理するという請負事業の形態で発展してきた。
- 現実には派遣先の業務と一体となって業務を処理したり、派遣先の指揮命令の下に労働者が就業している状態がみられるようになる。
- 派遣労働者の権利や労働条件等の様々な問題が生じ、これら法的に不明療な形態を一掃するため、労働者派遣法が制定される。
⑵ 労働者派遣と請負
- 労働者派遣は、労働者を「他人の指揮命令を受けて、当該他人のために労働に従事させること」であり、この有無によって労働者派遣業と請負とが区分される。
⑶ 労働者派遣事業と警備業
- 親事業者と下請事業者又は下請事業者間での警備員の貸借等、労働者供給又は派遣が行われることにより、警備業務実施の適正が阻害されたり、派遣先の指揮命令に服することにより、警備業法が警備業務の適正な実施を確保するため警備業者に課している警備員に対する指導・教育等の義務が全うされないおそれがある。
- 警備事業については、労働者派遣法第4条第1項の規定により、その派遣事業が一切認められていない。
- 警備業法及び警備業の要件に関する規則では、警備業務に関し、他の法令に違反する重大な不正行為として、労働者派遣法第4条第1項の規定に違反する行為を定め、この行為をした者について警備業から排除する。
労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(労働者派遣法)
第二章 労働者派遣事業の適正な運営の確保に関する措置 第一節 業務の範囲
第四条 何人も、次の各号のいずれかに該当する業務について、労働者派遣事業を行つてはならない。
一 港湾運送業務(港湾労働法(昭和六十三年法律第四十号)第二条第二号に規定する港湾運送の業務及び同条第一号に規定する港湾以外の港湾において行われる当該業務に相当する業務として政令で定める業務をいう。)
二 建設業務(土木、建築その他工作物の建設、改造、保存、修理、変更、破壊若しくは解体の作業又はこれらの作業の準備の作業に係る業務をいう。)
三 警備業法(昭和四十七年法律第百十七号)第二条第一項各号に掲げる業務その他その業務の実施の適正を確保するためには業として行う労働者派遣(次節並びに第二十三条第二項、第四項及び第五項において単に「労働者派遣」という。)により派遣労働者に従事させることが適当でないと認められる業務として政令で定める業務
2 厚生労働大臣は、前項第三号の政令の制定又は改正の立案をしようとするときは、あらかじめ、労働政策審議会の意見を聴かなければならない。
3 労働者派遣事業を行う事業主から労働者派遣の役務の提供を受ける者は、その指揮命令の下に当該労働者派遣に係る派遣労働者を第一項各号のいずれかに該当する業務に従事させてはならない。
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