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雑踏警備業務の業務管理5、連絡体制(指教責実務)

警備員指導教育責任者2号業務

連絡体制

・連絡体制は、報告や連絡を確実に伝達できるようにするためのシステムとして、緊急時はもちろん平常時にも欠かせない重要な体制である。

① 現場警備員の迅速で適時・適切な現場確認と現場状況の把握に基づく警備隊本部への迅速で適切な報告と連絡。
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② 警備隊本部が警察機関等、適切な通報連絡を実施
・事故等を防止するための適切な判断
・各警備隊へ必要な指示を発令し結果を確認
 

連絡体制の基本
 
・警備隊本部を中心に、契約先担当者、警察・消防等の公的機関、各警備隊の責任者、現場すべての警備員、その他必要な部署や施設に対する連絡網を確立する。 

ア. 平常時の連絡体制

事故等の未然防止や早期発見のため平常時の報告は非常に重要。 
・緊急時以外には、連絡や報告が疎かにされやすい。
・平常時の報告に事故等の兆候が隠れている可能性がある。

① 上下番報告
・個々の警備員の上下番は都度上長に報告
・各警備隊から警備隊本部へ人数と氏名を報告
・その時点で何名の警備員が勤務に就いているかを把握するため
・緊急時の警備勢力を常時確認しておくため

② 定時報告 
・各警備区域又は警備隊ごとに、一定の時刻に警備隊本部へ状況を報告
・現場の状況が警備計画どおりに推移していることを確認
・警備対象により時間間隔は事前に決定
・現場の混雑状況により時間間隔を調整(混雑時はこまめに行うなど)

③ 随時報告
二種類に区分
情報の提供を受けた警備隊本部は必要の都度、情報を一部又は全部の警備隊員に連絡する。
 
A. あらかじめ定められた一定の状況変化等 
 a)博覧会等の入場者数が一定の人数に達した時。 
 b)参集者の動線が一定の混雑状態に達した時。
 c)マラソン等の第一走者及び最終走者の通過時 
 d)その他あらかじめ定められた状況変化が起きた時

B. 警備員等の情報収集により得られた状況変化等
 a)小学生や中学生の一部が場内を走り回っている。 
 b)学生同士が複数でロ喧嘩をしている。 
 c)酒に酔った男性数名の集団がいる。 
 d)旗竿、のばり、プラカード、その他の長尺物を持っている人がいる。
 e)野球バット、その他の凶器となる物を持っている人がいる。
 f)警備実施上支障が発生するおそれのある事象がある。

④ 現場からの情報発信 
*現場にいる者が現場の状況を最もよく認識している。
・事件・事故等が発生した場合
・危険な兆候が見え隠れするような場合

*警備隊本部(警備隊長等) は、現場の正確な情報を常に把握しておくためには、現場にいる警備員の適切な情報収集と迅速な情報発信が欠かせない。

*現場に配置された個々の警備員が、自分の周辺をよく観察すること。

*現場からの情報発信の方法
・警備隊が使用する携帯用無線機
・警備区域内に設置された有線電話
・警備員個人が保有する携帯電話
・警備員自らが伝令となって警備隊本部へ駆け込む
・直近の警察官や消防吏員に即報し、警察無線や消防無線などから情報発信

⑤ 日報による報告 
・その日の警備状況全般について記載した報告書を警備隊本部が作成し、契約先担当者へ提出する。
・各地区担当の警備責任者が作成し、それをまとめて警備隊長が契約先担当者へ提出。

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イ. 緊急時の連絡体制

① 警察・消防機関への連絡 
・事件・事故、火災、傷病人の発生等、警察・消防(救急)への連絡体制。
・通常は110番、119番へ通報
・警察官詰所、救急隊員詰所等が設けられている場合には、内線電話その他適切な手段で即報。
 
・警察や消防から警備隊本部への指示・連絡に対応するため、警備隊本部の緊急連絡用電話番号、その他必要な事項を警察、消防に通知しておく。

② 契約先への連絡
・契約先担当者に対する緊急連絡は、相手が現地にいる場合には口頭報告が優先
・夜間等、相手が不在の場合に迅速な連絡ができるように計画しておく。

③ 警備員間の連絡 
・警備隊全体が情報を共有する。
 
④ 事故報告 
・雑踏事故、その他の事故の発生を口頭、その他適切な手段で即報、事故の詳細を現認者又は上長が書面に記載し、警備隊本部に提出して、警備隊本部がそれらの書類を管理する。
・必要に応じてその詳細又は統計等を警備隊本部から契約先担当者へ提出する。 
・事故の詳細を把握するためにも必要であるが、同種事故が複数発生した場合、事故の共通項を分析し、統計資料を作成するためにも必要である。

ウ. 連絡の手段

① 専用回線
・比較的長期のイベント等には、常設の専用回線が設置可能。
・警備隊本部と警察、消防、各警備隊詰所等、緊急度の高い施設を専用回線で結ぶ。 
・専用回線は話中という事態を極力避けることができ安定した連絡手段として有効。

② 公衆回線(電話)
・警備隊本部の公衆回線設置で、警察消防、他の電話機や携帯電話と相互に連絡可能。

③ 構内電話 
・内線だけのインターホン・システムや、外線と接続できる方法がある。 

④ 携帯用無線機 
・警備隊本部と警備員を結ぶ連絡手段として最も機動的。
・電波の不感地帯の調査、混信の排除、充電の確保等の対策が必要。

⑤ 携帯電話 
・巡回・動哨する警備員の連絡手段としては効果的。
・警備業務実施中に大災害等が発生した場合には、緊急連絡用としての機能を十分に生かしきれないおそれがある。 

⑥ 伝令員の配置運用 
・全域の停電、通信回線の断線、その他の通信障害が発生したとき。
・他人に傍受されては困る内容を伝達するとき。
・特定の警備員を伝令員として指定し、口頭連絡、書類の搬送等を行う。 
・あらかじめ担当する個人を定め、情報が他に漏れないよう留意する。

⑦ その他 
・場内放送設備、電光表示板、サイレン等。

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