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良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する中間報告書12

  • 警察庁から、良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する中間報告書(令和5年12月良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する有識者検討会)が発表されています。
  • 今後、交通誘導警備業務、雑踏警備業務の実施現場にて、自転車に対する誘導方法に注意しなければならない事項が出るかもしれませんので注視して行きたいと思います。

【良好な自転車交通秩序の実現させるための方策に関する提言】

第4 自転車が通行しやすい交通規制の在り方

2、有識者検討会において委員から出された主な意見

 本有識者検討会において、警察における自転車通行空間の確保に向けた取組の現状やアンケート調査の結果を踏まえ、自転車が通行しやすい交通規制の在り方について議論を行ったところ、各委員から次のような意見があった。

  • 自転車が関連する重大事故の約4分の3では自転車利用者に法令違反があるとのことだが、重大事故の多くは自動車との事故であり、かつ、自動車側のほぼ全てにも何らかの法令違反があることを踏まえると、双方がルールの遵守を徹底することが重要である。特に、自転車の通行空間が整備されていない道路も多い中、道路交通法上のルールの中には自転車通行を想定していないものが散見されるため、正しいルールで通行することが難しい場合がある。
  • 自転車にこどもを乗せて車道を通行している際に、自動車から幅寄せをされることがあり、そのような状況下では安心して車道を通行することができな い。自転車が安全に車道を通行することができるよう、自動車の運転者に配慮を求めることも必要ではないか。
  • 赤ちゃんを連れている方、目の見えない方、耳の聞こえない方を含め、多くの方が通行する歩道上を自転車が無制限に走ってくる状況は非常に危険であり、歩道上の安全は守らなくてはいけないと考えている。一方で、車道を通行する自転車と自動車の接触においては右側面の接触が多いというデータもあるため、これらの要素を総合的に考えて、自転車が車道の左端を通行することができるような環境を作っていかなければならない。
  • 愛媛県等で実施されている「思いやり 1.5m運動」は全国にも広げていくべきと考えているが、自動車と自転車との間に1.5mの間隔を確保することができない場合には徐行する、としている点については検討が必要である。自動車に徐行させるとなると、自動車は自転車を追い抜くことができない。
  • 「思いやり1.5m運動」については、道路が狭く、自動車と自転車との間に1.5m の間隔を確保することができないことから、導入をためらっている自治体もある。また、「シェア・ザ・ロード」という表現についても、その趣旨が全ての方に正しく伝わるとも限らない。このような取組を広浸透させていくためには、1.5mという距離にこだわるよりも、「自転車の横を通過するときはしっかりと間隔を空けて、お互いが気持ちよく使えるように」といった単純明快なメッセージでアピールをしていただきたい。
  • 自転車は車道通行が原則とされているが、車道を通行していると放置車両や路上駐車をよけて通行しなければならないような場合も散見され、安全性を考えると車道通行がためらわれるような現状がある。
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3、自転車が通行しやすい交通規制の今後の方向性

〜自転車が安全・安心に通行できる環境の整備〜

 本有識者検討会において議論した結果、それぞれの内容について次の方向性が取りまとめられた。

⑴ 車道を通行する自転車の保護

 自転車の車道通行を徹底するためには、前提として自転車が安全に車道を通行することができる環境を創出することが必要であり、そのためには、車道を通行する自転車の保護に資する取組を全国規模で推進していくことが適当で ある。

 具体的には、愛媛県等の取組事例も参考にしつつ、「全ての交通主体がお互いに思いやり、共に道路を安全・快適に利用する」という理念を国民に浸透させるためのキャンペーンを展開していくほか、車道を通行する自転車の保護に関する法制上の措置を講ずることが考えられる。

⑵ 自転車通行空間における違法駐車対策

 自転車通行空間における違法駐車取締りの実効性を高めるため、駐車監視員の活動に係るガイドラインについては、自転車の通行量や交通事故の発生状況、 違法駐車の実態等を踏まえ、随時見直しを行うことが適当である。

 具体的には、これまで駐車監視員の活動範囲として指定されていなかった法定外表示の区間に駐車規制が実施されている場合には当該区間を活動範囲として指定するなど、真に取締りを実施すべき場所、時間等を更に重点化していくことが考え られる。

 また、自転車通行空間における違法駐車を抑制するためには、上記ガ イドラインの見直し内容を含めた違法駐車取締りに係る方針、活動状況等を分かりやすく関係業界や国民に伝え、警察の取組への理解と協力を求めていく努力が必要であり、警察においては、これまでの広報啓発活動の枠組みにとどまらず、より効果的な広報啓発の在り方を模索していくべきである。

 他方で、違法駐車対策を取締りの観点のみから行うことは適当ではなく、駐車需要を踏まえた対策が必要であり、関係者とも連携して需要に応じた駐車ス ペースを確保するなど、路上駐車等により自転車が通行しづらい状況が緩和されるよう努めるべきである。

◎ 出典

  • 警察庁ウェブサイト(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/council/index.html)
  • 「良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する中間報告書」(警察庁)(https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/bicycle/kentokai/04/chuukanhoukokusyo-honbun.pdf)を加工して作成。

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