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良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する中間報告書13

  • 警察庁から、良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する中間報告書(令和5年12月良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する有識者検討会)が発表されています。
  • 今後、交通誘導警備業務、雑踏警備業務の実施現場にて、自転車に対する誘導方法に注意しなければならない事項が出るかもしれませんので注視して行きたいと思います。

【今後の検討課題】

1、自転車運転者講習制度の在り方について

 本報告書の中でも言及されているが、自転車を交通反則通告制度の対象とするに当たっては、制度の対象外となる16歳未満の者に対する交通安全教育が非常に重要となってくる。今回の提言においては、現時点において自転車運転者講習制度の前提要件を見直すことはせず、交通反則通告制度導入後の情勢を見極めた上で検討することとしている。

 本有識者検討会における自転車に係る交通安全教育の将来像に関する議論の内容がどのように社会に実装され、効果を発揮するかにも左右されるが、交通反則通告制度の導入から一定の期間を経過しても交通安全教育に係る見直しの効果が顕在化しない場合や、交通反則通告制度の対象外となる年齢層が行った自転車の交通違反が問題になるケースが後を絶たない場合など、交通安全教育の実効性が問われるような事態となった際には、自転車運転者講習制度の前提要件の見直しを含めた自転車に係る交通安全教育の法定化の検討も必要である。

 警察をはじめとした関係機関においては、交通反則通告制度の導入までの間に自転車に係る交通安全教育の在り方に関する議論を更に発展・深化させた上で、制度の導入後も自転車関連交通事故の情勢等を注視しつつ、適切な交通安全教育の在り方について絶えず検討を行うことが求められる。

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2、自転車の交通違反に対する違反処理の在り方について

 今回の提言において、自転車の交通違反に対する違反処理については、新たな制度を導入することの負担感も含めた検討の結果、現行の交通反則通告制度を自転車にも適用することとしたが、一方で、委員からの意見にもあるように、自転車の違反の中には、そもそも犯罪とするほどでもない軽微なものが一定数存在するという認識があるものと考えられる。

 まずは交通反則通告制度の下での運用が開始されることとなるが、反則行為をしたことにより違反取締りを受けた件数や反則金の納付率、刑事手続で処理された場合の起訴率等、施行後の情勢を見極めた上で、制度上不合理が生じるなどの事由があった場合には、本有識者検討会に提示されたもう一方の案である行政制裁金制度の導入を含め、制度の見直しに係る検討を行う必要がある。

 なお、行政制裁金制度の導入に係る検討をする際には、自転車の交通違反のみを非犯罪化する議論を行うのではなく、自動車等も含めた交通違反の非犯罪化について概念整理を行うべきである。

3、自転車の交通ルール等に係る法令上の規定について

 自転車に関する交通ルールという観点から道路交通法等の関係法令の規定を確認すると、自動車が中心に据えられた構成となっていることや例外規定が多いこと等も相まって非常に複雑で分かりにくく、国民が十分に理解できるようなものとなっていない。実際、本有識者検討会でも示された警察庁のアンケート調査の結果では、自転車の交通ルールを守らない理由として、「ルールをよく知らない」という回答が4割以上を占め、最も多くなっている。

 今回の提言では、車道を通行する自転車の保護を図るための広報啓発活動の推進や法制上の措置について盛り込まれたところだが、自転車が通行しやすい環境の創出をより一層推進していくためには、自転車の交通ルールを分かりやすく簡素に規定し、それらに対する国民の理解を促進することを目的とした法改正等の措置についても検討の余地があると考えられる。

◎ 出典

  • 警察庁ウェブサイト(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/council/index.html)
  • 「良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する中間報告書」(警察庁)(https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/bicycle/kentokai/04/chuukanhoukokusyo-honbun.pdf)を加工して作成。

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