交通誘導警備業務2級検定項目
(平成30年版)
◎法令に関すること
3 刑法(正当防衛、緊急避難についての概略的知識)
○緊急避難
刑法 第三十七条 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
2 前項の規定は、業務上特別の義務がある者には、適用しない。
「現在の危難」とは
・人の生命、身体、自由又は財産の侵害の危険が切迫している状態。
ア. 他人の違法な行為によって生じた、現在の危難を避けるために行った行為
イ. 他人の違法でない行為によって生じた、現在の危難を避けるために行った行為
ウ. 人の行為によらず、自然現象や動物の動作などによって生じた、現在の危難を避けるために行った行為
☆以上の避難行為が第三者の権利を侵害した時が対象となります。
・やむを得ずにした行為であることが必要です。
・他に避難の方法があればそちらを選択する必要があります。(緊急避難の補充性)
・危難の対象が不正なものに限らないため、正当防衛に比べて要件が厳格になっています。
・避難行為から生じた侵害が、避けようとして生じた侵害の程度を超えないことが条件になります。(法益の権衡)
・避難行為から生じた侵害が、避けようとして生じた侵害の程度を超えた場合、過剰避難となる。
・行き過ぎた、過剰な緊急避難に対しても情状酌量の余地はあります。
○第2項について
・緊急避難の要件に当てはまる状況であっても、自分への危難、侵害を受けてでも他人を守るべき業務上特別の義務のある者については、緊急避難は許されない。
・例えば、火災発生の際に避難誘導業務に従事する警備員が他の者を突き飛ばして逃げるような行為は、緊急避難行為とは認めにくい。
*しかし、どんな場合でも他人を守るべき業務上特別の義務のある者が自己の法益を守るための緊急避難が絶対に認められないわけではありません。(社会通念上、危難の内容や程度がその義務を超えている場合など )
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