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良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する中間報告書6

  • 警察庁から、良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する中間報告書(令和5年12月良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する有識者検討会)が発表されています。
  • 今後、交通誘導警備業務、雑踏警備業務の実施現場にて、自転車に対する誘導方法に注意しなければならない事項が出るかもしれませんので注視して行きたいと思います。

【良好な自転車交通秩序の実現させるための方策に関する提言】

第2自転車の交通違反に対する効果的な違反処理の在り方

1、自転車の指導取締りに関する現状と課題

⑴ 指導取締りに関する現状

 近年、国民のライフスタイルの変化等に伴い、自転車利用のニーズが高まる中、警察においても、自転車利用者による交通違反に対する指導取締りを強化しており、指導警告票を活用した実効性のある指導警告を推進しているほか、悪質・危険な交通違反に対しては積極的に取締りを行っている。

 特に、検挙件数を見ると過去10年で飛躍的に増加しており(平成25年は7,193件だったのに対し、令和4年は2万4,549件にまで増加した)(図1)、令和5年8月末現在においても既に昨年1年間の検挙件数を上回っている状況にある。

 また、検挙件数を違反類型別に見ると、自転車関連事故の主な要因である信号無視及び指定場所一時不停止が全体の約7割を占めている(図2)。

※ 自転車に対する指導警告と取締りについて

○ 指導警告
 悪質性・危険性が高くないなどの理由から検挙に至らない違反行為について、当該行為が道路交通法違反に当たり、刑罰の対象となることを認識させるとともに、指導警告票を活用することにより「車両」として自転車 が従うべき基本的なルール等を指導する。

○ 取締り
 警察官の警告に従わずに違反行為を継続した場合や違反行為により通行車両や歩行者に具体的な危険を生じさせた場合、交通事故に直結する危険な運転行為をした場合において、交通切符(いわゆる「赤切符」と呼ば れる書式)等を活用して検挙する。

赤切符:交通反則通告制度の適用を受けない特定の違反を迅速に処理するため、警察、検察、裁判の各過 程で共用されるよう統一されている書式をいう。

 実際の取締り事例を挙げると、信号無視、指定場所一時不停止について は、警察官の警告に従わずに赤信号を無視した場合や一時停止することなく進行して横断歩道上の歩行者の歩調を緩めさせた場合等に取締りが行われている。

 このほか、携帯電話を見ながら赤信号を無視したり、傘を差しながら一時停止することなく進行したりするなどのいわゆる「ながら運転」により交通違反が行われた場合等についても取締りが行われている。

⑵ 取締りに関する課題

 後述のとおり、自転車に対しては交通反則通告制度が適用されていないため、現在、自転車の交通違反が検挙された際には赤切符等によって処理されているが、犯罪行為として、例外なく刑事手続の対象とされており、刑法犯と同様の手続的負担を課すことは制度として重すぎる面がある一方、自転車の交通違反 の場合、赤切符等により検挙され、検察庁に送致されたとしても、結果として不起訴となることが多く、違反者に対する責任追及が不十分であるという問題も指摘されている。

 加えて、取締り現場において赤切符以外に供述調書等の複数の書類を作成する必要があるなどの事情から、通常手続に40分〜50分程度を要するが、後日、取調べのため検察機関に出頭させ、裁判所で裁判をすることもあり得るなど、現状の違反処理においては捜査機関にとっての事務負担が決して小さくない。

 ⑴で述べているとおり、自転車の交通違反の検挙件数が急増している中、 事務処理の合理化を図るとともに、実効性のある制裁を科す必要があるところ、 現状の刑事手続とは異なる制度の導入が不可欠であると考えられる。

2、自転車の交通違反に対する効果的な違反処理の在り方

 自転車の交通違反に対する効果的な違反処理の在り方としては、以下の2通りの方法が考えられる。

  • 現状、軽車両以外の車両等に適用されている交通反則通告制度の対象を自転車まで拡大する方法
  • 自転車を対象とした新たな行政制裁金制度を創設する方法

⑴ 交通反則通告制度の対象を自転車まで拡大する方法

 交通反則通告制度とは、交通違反の急増により、全ての違反者に対して通常の刑事手続を行うことによる負担を回避し、交通違反を簡易迅速に処理する必要性が生じたことから、昭和42年に設けられたものである。

 具体的には、軽車両以外の車両等の運転者がした反則行為(簡易迅速な処理になじむ、現認可能・明白・定型的な違反行為)について、これを簡易迅速に処理することで違反者・捜査機関双方の負担軽減を図るものであり、反則者が警察本部長の通告を受けて反則金を納付した場合には公訴が提起されない制度である。

 同制度においては、違反者が反則行為に当たる違反行為を行った場合、取締り現場において交通反則切符(いわゆる「青切符」と呼ばれる書式)により違反処理を行う。

 取締り現場において違反者が違反行為を自認し、交通反則通告制度の趣旨を理解すれば、ほとんどの場合において、反則金を納付することが期待されるため、最終的に公訴が提起される可能性は極めて低いといえることから、基本的に供述調書等の刑事手続を前提とした捜査書類を作成する必要はなく、手続に要する時間は10分〜20分程度で済んでいる。

 実際に、令和4年度における反則金の納付率は 98.5%であり、長年にわたる運用により、国民に受け入れられている制度であるといえる。

 制度創設当初は、自転車をはじめとする軽車両の違反については自動車等と比較して検挙件数が少なく、簡易迅速に処理すべき必要性が乏しかったこと等の事情から、交通反則通告制度の対象とはされなかったものであるが、上記のことを踏まえると、自転車についても自動車等と同様に交通反則通告制度の対 象とすることによって、簡易迅速に違反処理を行うことが期待できる。

⑵ 自転車を対象とした新たな行政制裁金制度を創設する方法

 ⑴で述べた交通反則通告制度以外に自転車の交通違反を簡易迅速に処理する方法としては、自転車の運転者がした比較的軽微な違反行為に対する罰則 (刑事罰)を削除し、非犯罪化した上で、これらの違反行為を行政上の秩序罰 (行政制裁金)の対象行為とすることが考えられる。

 具体的には、都道府県公安委員会は、違反者に行政制裁金の納付を命ずることができることとし、納付 しない者に対しては滞納処分の例により強制徴収を行うことができることとするものである。これにより、検察や裁判所における手続や対応を要することなく、簡易迅速に自転車の交通違反を処理することが可能となる。

 

◎ 出典

  • 警察庁ウェブサイト(https://www.npa.go.jp/bureau/traffic/council/index.html)
  • 「良好な自転車交通秩序を実現させるための方策に関する中間報告書」(警察庁)(https://www.npa.go.jp/koutsuu/kikaku/bicycle/kentokai/04/chuukanhoukokusyo-honbun.pdf)を加工して作成。

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