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遺失物法、遺失物法とは(指教責基本)

警備員指導教育責任者2号業務

◉遺失物法

○「遺失物法」とは
(趣旨)
遺失物法 第一条

この法律は、遺失物、埋蔵物その他の占有を離れた物の拾得及び返還に係る手続その他その取扱いに関し必要な事項を定めるものとする。

民法
(遺失物の拾得)
民法 第240条 遺失物は、遺失物法(平成十八年法律第七十三号)の定めるところに従い公告をした後三箇月以内にその所有者が判明しないときは、これを拾得した者がその所有権を取得する。
(埋蔵物の発見)
民法 第241条 埋蔵物は、遺失物法の定めるところに従い公告をした後六箇月以内にその所有者が判明しないときは、これを発見した者がその所有権を取得する。ただし、他人の所有する物の中から発見された埋蔵物については、これを発見した者及びその他人が等しい割合でその所有権を取得する。

  • 「遺失物法」は「民法」240条にもとづく特別法である。
    • 「一般法」とは、適用対象が広い法のこと。
    • 「特別法」とは、特定の人,場所,事項に限って適用される法のこと。
  • 特別法は一般法に優先する、「遺失物法」で規定していない期間計算については「民法」の規定が適用される。

(定義)
遺失物法 第二条

この法律において「物件」とは、遺失物及び埋蔵物並びに準遺失物(誤って占有した他人の物、他人の置き去った物及び逸走した家畜をいう。次条において同じ。)をいう。
この法律において「拾得」とは、物件の占有を始めること(埋蔵物及び他人の置き去った物にあっては、これを発見すること)をいう。
この法律において「拾得者」とは、物件の拾得をした者をいう。
この法律において「遺失者」とは、物件の占有をしていた者(他に所有者その他の当該物件の回復の請求権を有する者があるときは、その者を含む。)をいう。
この法律において「施設」とは、建築物その他の施設(車両、船舶、航空機その他の移動施設を含む。)であって、その管理に当たる者が常駐するものをいう。
この法律において「施設占有者」とは、施設の占有者をいう。

1、物件

  • 「物件」は、原則として、物1点を単位として捉える。
    • 手帳が在中したかばんが拾得された場合は、手帳という物件とかばんという物件が拾得されたものとして取り扱う。
  • 社会通念上一体のものとして取り扱われるのが通常であると考えられる場合には、複数の物であっても、一の物件として取り扱う。
    • 複数の紙幣及び硬貨、同種類の有価証券、左右ペアのイヤリング一対、製品出荷用の箱にまとめて収納されている複数個の時計のような物。

① 遺失物とは

  • 他人が占有していた物であって、当該他人の意思に基づかず、かつ、奪取によらず、当該他人が占有を失ったもので、それを発見した者の占有に属していないもの(逸走した家畜、家畜以外の動物(民法(明治29年法律第89号)第195条)及び埋蔵物を除く。)をいい、民法第240条に規定する「遺失物」と同義である。

② 埋蔵物とは

  • 他人が占有していた物であって、当該他人の意思に基づくか否かにかかわらず、土地その他の物の中に包蔵され、その占有を離れたもので、その所有者が何人であるか容易には識別できないものをいい、民法第241条に規定する「埋蔵物」と同義である。

③ 準遺失物とは

ア、誤って占有した他人の物

  • 他人が占有していた物であって、自己の過失によりその占有に属したもの。(間違えて持ち帰った他人の傘、履き違えた他人の靴等)
  • 占有する際に自己の過失があるため、保管等の費用や報労金の請求権はない。

イ、他人の置き去った物

  • 他人が占有していた物であって、当該他人の意思に基づくか否かにかかわらず、かつ、奪取によらず、当該他人が占有を失い、自己の占有に属することとなったもので、誤って占有した他人の物以外のもの。
  • 廃棄された物であると客観的に認められる物は無主物であることから、「誤って占有した他人の物」又は「他人の置き去った物」には該当しない。
     

ウ、逸走の家畜(「逸走」とは、自ら逃げること)

  • 他人の占有していた家畜であって、逸走して当該他人の占有を離れたもので、誰の占有にも属していないもの。

☆「漂流物」とは

  • 占有を離れて河川や海・湖に漂流する物件をいい、これらの物件を拾得した者は遅滞なく市町村長に届け出ることを要する。(水難救護法第24条)
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2、拾得

  • 物件の占有を始めること。
  • 埋蔵物及び他人の置き去った物については、「発見すること」で「拾得」となる。
  • これらを「発見すること」を「拾得」と定義されているのは、埋蔵物及び他人の置き去った物は、自己の故意又は過失によらず、既にその占有下にあるからである。

3、拾得者

  • 物件を拾得した者。
  • 施設占有者の代理人、使用人その他の従業者が、当該施設占有者が占有する施設において物件の占有を始め、又はこれを発見した場合には、当該施設占有者が拾得者となる。

4、遺失者

  • 物件の占有をしていた者。
  • 上記、1、物件の①、②、③の他人をいう。
  • 「物件の回復の請求権を有する者」とは、物件の所有者のほか、原所有者に対して特定物債権を有し原所有者の有する物権的請求権を代位行使することができる者をいう。

5、施設

  • 「建築物」とは、土地に定着する工作物のうち、屋根及び柱又は壁を有するもの(これに類する物を含む。)をいう。(駅、空港、百貨店、スーパーマーケットその他の商店、ホテル、旅館、娯楽施設、飲食店、官公庁施設、オフィスビル、学校等)
  • 「移動施設」とは、自力、他力を問わず、場所を移動する「施設」をいい、「車両」には、自動車、鉄道の用に供する車両、軌道の用に供する車両等が該当する。
  • 「管理に当たる者」とは、店員、駅員、職員、警備員等、当該施設における人の出入り等の管理に係る職務に従事する者を広く含む。
  • 「常駐」とは、施設にいつでも所在している。
  • 巡回、配達、本社との連絡等によってたまたま「管理に当たる者」がその施設を不在にすることがあっても、当該施設は「管理に当たる者が常駐する」施設に該当する。
  • その施設を利用する者が利用可能な時間帯に「管理に当たる者」が居れば、24時間常駐している必要はない。
  • 警備員が、施設外の場所を拠点にしてテレビカメラ等で監視、又は一時的に施設に立ち寄るだけの施設は、「管理に当たる者が常駐する」施設には該当しない。

6、施設占有者

  • 「施設の占有者」とは、施設を自己のためにする意思(民法第180条)を持って事実上支配していると認められる者。
  • 駅や鉄道車両であれば鉄道事業者、商店であれば商店主が施設占有者。
  • 商店の従業者たる店長や鉄道の駅長は、占有代理人(民法第181条参照)に過ぎず、自己のためにする意思がないことから、施設占有者には該当しない。
  • 貸しビルのテナントのように施設を所有者から賃借している場合には、所有者ではなく賃借人が、自己のためにする意思を持って現実に当該施設を支配しているため施設占有者に該当する。

 

*出典

・e-Govポータル (https://www.e-gov.go.jp)

・e-Gov法令検索、遺失物法民法水難救護法をもとに編集

 

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