スポンサーリンク

未熟練労働者に対する安全衛生教育マニュアル「警備業編」8

警備員指導教育責任者2号業務

「未熟練労働者の安全衛生教育マニュアル、警備業編」より

第1章 未熟練労働者に対する安全衛生教育
(安全衛生担当者用)令和2年3月

第Ⅱ 未熟練労働者に対する安全衛生教育の流れ

3. 災害防止の基本を教える(その1)【安全衛生のルールや活動の意義を理解させる】

(4) ヒヤリ・ハットの活用
業務中に、「床が濡れており、足を滑らせてヒヤリとした。」、
「巡回中にガラス扉に気付かず、激突しそうになりハッとした。」など、
もう少しで怪我をする、危険を感じたなど「ヒヤリとする」あるいは「ハッとする」ような体験を「ヒヤリ・ハット」と言います。
この体験を放置せず(ヒヤリ・ハット経験を活用し)、チームなどで対策を考え災害防止につなげる活動が「ヒヤリ・ハット活動」です。

ア. ヒヤリ・ハット活動の基礎
「ヒヤリ・ハット」を放置してしまうと、その時は怪我もせず無事であってもその後大きな労働災害につながるおそれがあります。
また、「ヒヤリ・ハット」は、気付いていない職場にある危険を洗い出し、業務や職場の危険を把握するための貴重な情報源として活用することでより一層の安全な業務につながることが期待されます。

このような「ヒヤリ・ハット」を活用することで次のような効果が期待されますので、積極的にヒヤリ・ハット活動を実践しましょう。

○ 未熟練労働者に対し、業務や職場のどこに、どのような危険があるかを分かりやすく認識させることができる。

○ ヒヤリ・ハットを報告することで、危険に対する感受性を鋭くすることができる。

○ ヒヤリ・ハット情報をもとに、危険予知訓練やリスクアセスメント(後述)を行うと、より実践的な安全衛生活動につながる。

**ヒヤリ・ハット活動の実施ポイント**
① ヒヤリ・ハット経験の報告
記憶は時間の経過とともに薄れ、曖昧になります。終業時など、適宜所定の用紙などで報告しましょ
う。また、警備会社は、報告のための用紙などを用意し、報告しやすい体制を構築しましょう。

② 報告者の責任は追及しない
・「ヒヤリ・ハット」は、これまで気付いていなかった危険の洗い出しにも繋がります。
・不安全な行動で「ヒヤリ・ハット」が発生しても、報告者の責任を追及せず、安全衛生活動への活用を徹底しましょう。
・そうすることで、活発な報告につながります。

③ ヒヤリ・ハット経験を改善に活かす
・報告しても改善につながらない場合、報告者やまわりの警備員の動機づけにも悪影響が生じてきます。
・根本原因に立ち返り、早期の対策を行いましょう。

④ ヒヤリ・ハット情報の共有
・報告されたヒヤリ・ハット情報は、同じような業務を行っている警備員や同じ職場の仲間などにも早期に知らせ、同じようなことが繰り返されないようにしましょう。

スポンサーリンク

イ. ヒヤリ・ハット報告フロー
警備員は業務や職場で発生したヒヤリ・ハット事例を、下に示すようなヒヤリ・ハットレポートや上下番報告、日報などにより、積極的に報告・情報共有することが重要です。
また警備会社は、収集したヒヤリ・ハット事例を分析するとともに、特に重要な事例については、新任教育、現任教育、巡察に加え、社内掲示板やイントラネットなどを活用してフィードバックを実施しましょう。

ウ. ハインリッヒの法則(1:29:300の法則)
アメリカの損害保険会社の安全技師であったハーバート・ウィリアム・ハインリッヒが発表した法則です。

同じ人間が起こした330件の災害のうち、1件は重大災害(死亡や手足の切断等を含む)があったとすると、29回の軽微な災害(応急手当だけですむかすり傷など)、傷害のない事故(傷害や物損の可能性があるもの、ヒヤリ・ハット)を300回起こしているというもので、300回の無傷害事故の背後には数千の不安全行動や不安全状態があることも指摘しています。

また、ハインリッヒは、鉄骨の組立と事務員では作業の内容が異なるため、比率そのものも異なると言及していますが、比率の数字そのものではなく、事故と災害の関係を示す法則としては、現在も十分に活用できる考え方です。

同様の研究としては、同じくアメリカの保険会社の部⻑であったフランク・バードの事故比率があり、297社の175万件の事故報告を分析して、1(重傷又は廃失):10(傷害):30(物損のみ):600(傷害も物損もない事故)の比率を導き出しています。

これらの研究成果で重要なことは、比率の数字ではなく、災害という事象の背景には、危険有害要因が数多くあるということであり、ヒヤリ・ハット情報をできるだけ把握し、迅速、的確にその対応策を講ずることが必要であるということです。

【参考】 ヒヤリ・ハットレポートの例

出典
厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/index.html)
未熟練労働者に対する安全衛生教育マニュアル(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000118557.html)
警備業向け_安全衛生教育マニュアル(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/000611912.pdf)を加工して作成
令和3年1月現在

次は
未熟練労働者に対する安全衛生教育マニュアル「警備業編」9

未熟練労働者の安全衛生教育マニュアル

コメント