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交通誘導警備業務9「事故発生時に行う道路上の危険防止とその他の措置」(指教責実務)

警備員指導教育責任者2号業務

◉事故発生時に行う道路上の危険防止とその他の措置

1.群集心理の態様と適切な対応

・現場で死傷者を伴う事故が発生した場合は、不特定多数の者が集まり車を止めて事故状況を確認しようとしたり誘導に従わない者もいる。
・群集心理や群衆の対処法を理解しておく必要がある。

2.群集心理と交通事故現場の群集の特徴

「群集」
一定の場所に不特定多数の人たちが集まっている状態
個々の結びつきや規律統制がないために、わずかな刺激(きっかけ)で突発的行動に移る危険性を持っている

・集団とは、みんなで何かをしようといった統一された目的があります。その中には上下関係や規律があって人が集まっている状態である。
・集団状態で危険な方向に心理状態が傾くと、一人の時は、考えもしなかったことを考え、普段一人ではおこなわないような行動もしてしまう。(集団心理)

・群衆とは単純に人が群がっているだけの状態。構成人員もバラバラで、人間関係もない、統一された意志がない状態である。
・人が群衆となり理性が薄れると、流言飛語、デマに踊らされ普段では行わない行動、違法行為、暴力行為に発展することも有る。(群集心理)

・また、集団が集まり無秩序な群集に発展することもある。

○群集は、共通の対象への関心が高まればその対象を中心として1つの全体的なまとまりとなり、次第に自己意識が薄らぎ、全体の中に融合する。

◎群集心理の特徴・群集を心理的な面からみた特徴。
ア.ー人ひとりに共通した関心があって集まる。
イ.集団は偶然的、一時的に発生する。
ウ.集団の一人ひとりには、任務分担のない集まりである。
エ.感情的な雰囲気に支配されやすい。
オ.暗示にかかりやすい集団である。
カ.一人ひとりに接近性がある。

・事故が発生して集まる人々は、事故状況に関心を持って集まる野次馬的な群集。
・交通の流れが渋滞しないよう付近の広報や交通の誘導を行いながら交通の円滑を図り、二次災害の防止に努める。
・人々の共通の関心事である事故現場を早期に元の状態に復帰させるか、何らかの方法で隔離すること。

3.適切な対応

・事故発生時は、警察機関等への連絡を速やかに行い、次のような対応を他の警備員等と連携して行う。

①.事故車両を交通の妨げにならないような安全な場所(路肩、空地等)に誘導。死亡、重傷等の重大事故の場合は負傷者等の救護を優先する。

②.事故当時の状態を復元できるよう車両の位置を正確に記録。

③.事故車両の運転者等に協力し停止表示器材を事故現場の後方で後続してくる車両が視認でき場所に設置。

④.道路の状況により、一時的に一方通行、片側通行及び迂回することを要請する。


⑤.手旗 (誘導灯)、 拡声器等を活用し事故が発生したことを他の通行車両等に知らせる。

⑥.交通誘導要領の例
・警備員が2名の場合、1名は事故発生現場での二次災害防止及び現場保存、負傷者がある場合には応急の手当てを行い、他の1名は警察機関等への通報及び通行する車両等に対する誘導、広報を行う。
・警備員が1名の場合、負傷者がある場合は、負傷者の救護を優先して行い、付近にいる人に警察機関等への連絡を依頼する。

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4.事故発生時の広報活動要領

・交通誘導現場付近で交通事故、火災等が発生した場合、一般車両や歩行者を的確に誘導し事故の拡大防止を図るための広報活動を行うことも想定される。

・広報内容
混雑状況その他各種情報を提供する広報
通行禁止、迂回規制等の交通規制に関する広報
避難等の警告を行う広報

◯広報活動を行う場合、警察官の指示があればその指示に従って実施する。

◎拡声器を使用した広報活動の実施要領
①.拡声器の効果的使用
・広報活動に際しては拡声器を使用し、事故が発生していることをいち早く通行車両等に知らせる。
②.拡声器を使用する場所
・原則として、2名の警備員が現場の両端で、かつ現場から離れ過ぎない場所で行う。

(-_-) 個人的な感想です。
拡声器は交通誘導警備業務を行う場合、常時携帯している装備ではない。
もしもの場合に備えて常に持ち歩く必要があります。
各現場ごとに一つ携帯させようと思えば、かなりの数の拡声器が必要になります。
保守管理等警備会社としてはかなりの負担になってしまいます。
拡声器による広報は警察官が行う場合は想定できますが、警備員が拡声器で事故の広報を行うことは現実的ではないと思います。
警備業務のマニュアルが警察業務のそれから、そのままフィードバックされているためなのでしょうか?

道路交通法

第二節 交通事故の場合の措置等

(交通事故の場合の措置)
第七十二条 交通事故があつたときは、当該交通事故に係る車両等の運転者その他の乗務員(以下この節において「運転者等」という。)は、直ちに車両等の運転を停止して、負傷者を救護し、道路における危険を防止する等必要な措置を講じなければならない。この場合において、当該車両等の運転者(運転者が死亡し、又は負傷したためやむを得ないときは、その他の乗務員。以下次項において同じ。)は、警察官が現場にいるときは当該警察官に、警察官が現場にいないときは直ちに最寄りの警察署(派出所又は駐在所を含む。以下次項において同じ。)の警察官に当該交通事故が発生した日時及び場所、当該交通事故における死傷者の数及び負傷者の負傷の程度並びに損壊した物及びその損壊の程度、当該交通事故に係る車両等の積載物並びに当該交通事故について講じた措置を報告しなければならない。
 前項後段の規定により報告を受けたもよりの警察署の警察官は、負傷者を救護し、又は道路における危険を防止するため必要があると認めるときは、当該報告をした運転者に対し、警察官が現場に到着するまで現場を去つてはならない旨を命ずることができる。
 前二項の場合において、現場にある警察官は、当該車両等の運転者等に対し、負傷者を救護し、又は道路における危険を防止し、その他交通の安全と円滑を図るため必要な指示をすることができる。

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