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未熟練労働者に対する安全衛生教育マニュアル「警備業編」18、異常事態発⽣時の対応2

警備員指導教育責任者2号業務

「未熟練労働者の安全衛生教育マニュアル、警備業編」より

第1章 未熟練労働者に対する安全衛生教育
(安全衛生担当者用)令和2年3月

第Ⅱ 未熟練労働者に対する安全衛生教育の流れ

5. 災害防止の基本を教える(その3)【緊急時のポイント】

◯ 救急蘇生法

  • 業務の性質上、事件・事故などに伴う負傷者を取り扱う機会が多く、そのような事態に遭遇した場合、適切な措置をとることが社会的に期待される。
  • 平素から応急措置について正しい知識と技能に精通し、習熟しておくことが重要。

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◯ 避難誘導

  • 一定規模以上の建物は、消防法により自衛消防組織を組織することが求められており、避難計画書の作成と、年1回以上の避難訓練が求められている。
  • 警備員は多くの場合、避難誘導や初期消火などの役割が与えられており、避難計画書の確認と、避難誘導に関する準備をしておくこと。

避難計画の確認事項

1 避難場所の確認

  • 多数の人が安全に集合できる場所かどうか。
  • 機材や荷物などが置かれていないかどうか(避難場所として適しているかどうか)。

2 非常出口の確認

  • 防犯上の理由で施錠されている場合、解錠方法・ルールが適切かどうか。
  • ドアのノブやドア自体が錆びて動かなくなっていないかどうか。
  • ドアの外に機材や荷物などが置かれていないかどうか。

3 避難経路の確認

  • 避難経路に機材や荷物などが置かれていないかどうか(避難経路の幅が適切に確保されているかどうか)。
  • 避難経路が2箇所(2方向)確保されているかどうか。
    • 避難経路が1箇所しかなく、かつ煙の充満や荷崩れなどでふさがれた場合、避難できなくなる事態を回避。

4 避難用設備・資機材の確認

  • 非常放送設備の有無と、使用方法、稼働状況の確認。
  • 拡声器、誘導用照明器具、避難誘導用の旗、ヘルメットなどの避難誘導に必要な設備・備品の有無と使用可能かどうかの確認。

適切な指示のポイント

1 落ち着いた声で指示

  • 非常放送設備を使用する場合
    • 落ち着いた声で正確な危険の状態を告知し、避難方法、避難方向を分かりやすく伝えるよう心がける。
  • 非常放送設備を使用しない(非常放送設備がない)場合
    • 大声で怒鳴るようなことは避け、拡声器などを有効に使用し、落ち着いた声で指示する。

2 現場での直接誘導の場合

  • 先頭に立って、「私の方に来てください」と誘導する方法が最善。
    • 「右に逃げろ」や「あっちに逃げろ」は現場を混乱させることがあるため、はっきりとした目標物を指示して誘導する。

3 群衆が分散している場合

  • 自分の近くにいる人だけ直接引っ張る方法もある。
    • その場合、5~6人が限度であるが、後ろの人が前の人の肩や腰に片方の手をかけて列を作ることで、そのグループを確実に避難させることができる。

避難誘導の原則

  1. 避難指示は、非常放送設備や拡声器、メガホンなどを使用して大勢の人に同時に、かつ確実に伝わるようにする。
  2. 通路の角、階段入口など避難する人が迷い込みやすい場所に先着して正しく誘導する。
  3. 超高層ビルなどの特殊な場合を除き、エレベーターは使用しない。
  4. 非常階段など、安全かつ確実に大勢の人を避難させることができる経路を優先し、救助袋や緩降機などの避難器具は、他に手段がない場合に使用する。
  5. 大勢の人がいる場合は、人数を分散させて混乱を避けるとともに、危険な場所にいる者が早く避難できるようにする。
  6. 煙は人よりも早く上昇するため、地上に誘導することが原則。地上に誘導することが不可能な場合、屋上や救助可能なベランダなどに誘導する。
  7. 一度避難した者は、再び戻らせない。
  8. 警備員は退避の際、他に逃げ遅れた者がいないかどうかを確認し、最終者は防火扉を閉めるなどして退避すること。
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◯ 初期消火

  • 大規模火災を未然に防ぐためには、初期の段階で消火することが重要です。
  • 警備員は、ボヤなど火災を発見した場合は、避難誘導と同時に初期消火に努める。
  • 身の危険を感じた場合や天井まで火が燃え広がっている場合は、速やかに避難する。

消火活上のポイント

1 上方向への避難は危険

  • 煙の上方向への移速度(毎秒3~5 メートル)は人が階段等で移する速度より速い。
  • 煙の横方向への移速度(毎秒0.3~0.8 メートル)は早くないが、火災現場の独特の雰囲気中では避難が困難な場合があるため注意が必要。
  • 煙と同時に熱気も移している。

2 有毒ガス発生のおそれ

  • 火災現場では一酸化炭素と二酸化炭素が発生し、特に一酸化炭素中毒に注意する。
    • 一酸化炭素は、血液中のヘモグロビンと結合しやすい(酸素の200~300倍の親和性)ため、全身に酸素不足を引き起こし生命の危険(一酸化炭素中毒)をもたらす。
  • 燃焼している物質によっては、シアン化水素、亜硫酸ガス、アルデヒドなど有害性が高い物質が発生する。
  • 有害性が低いガスであっても、室内に充満すると酸素濃度が低下するため酸欠や窒息が生じるおそれがある。

3 初期消火はただちに実施

  • 早く周囲に知らせる
    • 一人で消そうとせずに、まずは非常ベルなども利用して周囲に知らせる。
    • ただちに119番通報する。
  • 初期消火は迅速に
    • 燃え広がる前に、消火器を使用して初期消火を迅速に行う。
    • 初期消火では対応できない場合などに備え、必ず避難路を確認する。
  • 早く逃げる
    • 天井まで火が燃え広がっている場合は身の安全を確保するため避難する。
    • 避難する際には、燃えている部屋のドアや窓を閉めて空気を遮断する。
  •  

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事故等の発生時における心構え2、避難誘導(交通2級)

出典
厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/index.html)
未熟練労働者に対する安全衛生教育マニュアル(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000118557.html)
警備業向け_安全衛生教育マニュアル(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/000611912.pdf)を加工して作成
令和3年1月現在

未熟練労働者の安全衛生教育マニュアル

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