警備員指導教育責任者2号業務
「未熟練労働者の安全衛生教育マニュアル、警備業編」より
第1章 未熟練労働者に対する安全衛生教育
(安全衛生担当者用)令和2年3月
第Ⅱ 未熟練労働者に対する安全衛生教育の流れ
5. 災害防止の基本を教える(その3)【緊急時のポイント】
◯ 警察機関等への連絡
- 警備員はその業務の性質上、事件・事故などに遭遇することが多い。
- 冷静沈着に状況を把握すること。
- 被害の拡大防止、負傷者等の救護・誘導を行う。
- 警察機関等への通報連絡を的確に行えるよう、平素から通報連絡の手段を習熟しておくこと。
ア. 通報の手段
① 加入電話の場合
- 受話器を外し、発信音を確かめてから局番なしの「110」または「119」をダイヤルする。
② 公衆電話の場合(硬貨、テレホンカードは不要)
*緊急通報ボタンがあるもの
- 受話器を取り、緊急通報ボタンをクリアカバーの上から強く押しこんだ後、「110」または「119」を押す。
*緊急通報ボタンがないもの
- 受話器を取り、発信音を確かめてから、「110」または「119」を押す。
*非常通報装置があるもの
- 火災発生時に非常ボタンを押すだけで、あらかじめ設定された通報先の電話を呼び出し、装置に記憶された音声メッセージにより、火災発生を知らせることが可能。
③ 携帯電話の場合
- 使用方法は一般の加入電話と同じ。
- 現在地を出来るだけ正確に告げること。
- 場所が県境の場合、通報している者の意図と異なり、隣の県につながるおそれがある。
④ 高速道路上などの非常電話の場合
- 高速道路では1キロメートル間隔(トンネル内は200メートル間隔)で非常電話が設置されている。
- 基本的に受話器をとると交通管制室につながり通話できるようになるが、一部で「故障」、「事故」、「火災」、「救急」等のボタンを押す必要があるものもある。
イ. 通報の内容
- 事件・事故の種類 「泥棒」、「強盗」、「交通事故」、「火災」、「急病人や怪我人」を明確に伝える。
- 六何の原則(5W1H)、いつ(When)、どこで(Where)、だれが(Who)、何を(What)、なぜ(Why)、どのように(How)の6つの要素で伝える。
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◯ 現場保存
- 事件・事故の現場には、犯罪や事故の原因となる証拠物件が数多く残されている。
- 現場をそのままの状態に保存することに努め、警察や消防の採証活等に協力する。
現場保存の要領及び留意事項
1 現場保存の範囲確保
- 現場を中心に、出来る限り広い範囲を保存範囲として確保する。
- 保存範囲の明確化のため、ロープなどを用いて立入制限線を設定する。
- 通行止めが出来ない場所は、出来る限り通行を制限する。
- 交通事故の現場の場合は、迂回道路があれば迂回させるが、なければ通行に必要な最小限の道路部分を開放する。
2 立入制限の実施
- 現場保存の範囲からすべての人を速やかに立ち退かせる。
- 現場保存の範囲内において、施設内の関係者であっても立入を制限する。
- 二次災害防止のためやむを得ない場合、その者に同行し現場での行に注意するとともに、氏名、時間、行範囲等について正確に記録すること。
- 立ち退かせることが適当でない者は、範囲内の1箇所に集める、またはその場をかないようにすること。
- 立入制限の前後で現場にて行した者の氏名、時間、行範囲等を正確に記録する。
3 現場の状況、証拠品等の保存
- 現場のすべてのものに手を触れない、位置を変更しない。
- 自分の行する経路は一定にし、不必要に現場内で行しない。
- 屋外の場合、雨などで流出・変形のおそれがあるため必要な措置(ビニールで覆うなど)を講じる。
4 発見者、目撃者の確保
- 事件や事故に関する有力な参考人である場合が多いため、出来る限り立ち去らないように要請する。
- 所用で立ち去る必要がある場合は、その者の氏名、連絡先などを記録しておくことが望ましい。
- その他情報提供者となり得る者については、記録する。
- 第一発見者が自分である場合などは、捜査機関以外の者に具体的内容を話すことを避け、言動を慎む。
死傷者発生時の留意点
1 負傷者発生時
- 応急手当を実施する。
- 重傷者がいる場合は、直ちに救急車を手配するとともに優先的に応急手当てを実施する。
- 警察官より救急隊が先に到着した場合は、負傷者の倒れていた位置や着衣の状況、凶器の有無などについて観察・記録し、到着した警察官に報告する。
2 死亡者発生時
- 礼を失さないように注意する。
- 生死の判断は緊急隊員、医療従事者に任せる。
- 警備員は、蘇生するかもしれないとの判断に基づき、必要な救命活を実施すること。
- 死体は、警察による鑑識活の対象であるため、位置や着衣などを変更しない。
- 周囲の好奇の目にさらされることがないよう、毛布やシーツなどで覆うなどの処置を実施する。
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- 連絡、通路の時間及びその内容
- 第3者の連絡によって事件を知った場合、その発見者の氏名、住所及び連絡先等 6 現場保存の範囲とその方法
- 現場保存を実施した時間
- 現場保存のため行った措置と行の範囲
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- 現場保存実施後に現場に出入りした者の氏名、住所及び連絡先等
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出典
厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/index.html)
未熟練労働者に対する安全衛生教育マニュアル(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000118557.html)
警備業向け_安全衛生教育マニュアル(厚生労働省)(https://www.mhlw.go.jp/content/000611912.pdf)を加工して作成
令和3年1月現在
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