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交通誘導警備業務11「車両誘導場所、歩行者誘導場所での受傷事故防止対策その2」(指教責実務)

警備員指導教育責任者2号業務

◉車両誘導場所、歩行者誘導場所での受傷事故防止対策

◎危険の予知
・受傷事故等を防止するため、危険を予知する訓練を行う。
・交通誘導警備業務に際しての危険予知は、車両の操舵特性と運転者の心理、歩行者、特に、子供の行動特性等を知ることなど。
・発生しがちな危険を予測し、早期に発見した場合は、適切に回避できるよう研鑽する。

○危険予知とは
・労働災害が発生する直接の原因は「不安全な状態」と「不安全な行動」
・「不安全な状態」とは、設備面や管理面の不備
・「不安全な行動」とは、
ア、ヒューマンエラー(不注意に起因する行動)
・見間違いや聞き間違い、うっかりやぼんやりといった不注意がもたらす不都合な結果のこと。
イ、リスクテイキング(あえて危険性のある行為を選んでしまう行動)
・作業に掛ける手間や労力、時間やコストを省くことを優先した結果、安全に必要な確認作業をおこたる。
・仕事や作業への慣れや油断から「これくらいは大丈夫だろう」と考えること。

⑴ 車両の操舵特性
・内輪差、外輪差、操舵方式等の特性を把握するには経験が必要。
・操舵特性に応じて、危険区域を把握し、そこを避ける。
・危険な場所に立ち入らないよう注意、万一入った場合、直ちに車両に停止を求める。

⑵ 車両の停止距離
・乾いたアスフアルトの舗装道路で普通乗用車が停止するために必要な距離。

「空走距離」
・運転者が危険に気づいてプレーキを踏み、プレーキが効き始めるまでに走る距離のことで約1秒間と設定。

「制動距離」
・プレーキが効き始めて、車両が停止するまでの距離のこと。

「停止距離」
・運転者が危険に気づいてから車両が停止するまでの距離のこと。
・高速道路を時速100キロメートルの速度で走行中、運転者が18メートル手前で危険に気がついても障害物の手前で止まることはできない。

⑶ 運搬車両の積載物
・車両が左右に曲がる際、遠心力が働き車両の安定力よりも遠心力が上回った場合、車両は横転する。
・車両が荷物を積載している場合、積荷が遠心力によって横方向に投げ出されることもある。
・路面に凹凸がある場合、直進しているトラックの荷台から積荷が落下することもある。

⑷ 運転者の心理
・運転者の行動を事前に予測することで、危険を回避する

・運転者の大半は、自分は事故を起こさないと考えている。
・警備員等の誘導に従った結果、接触等の事故を起こした場合には、自分が悪いのではなく、誘導した者に責任があると考えがち。
・警備員はその心理を理解し、安全は運転者が自ら確認すべきであり、警備員はその補助をするに過ぎないということを相手に理解させ、そのうえで万全の誘導を行う必要がある。
・目の前に障害物が急に飛び出した場合、大半の運転者は障害物を避けようと無意識にハンドルを切って対向車両と正面衝突をしたり、道路外に飛び出したりすることになる。
・場合によっては、工事現場内に突っ込んでくることも考えられる。

⑸ 子供の行動特性
・子供は自分の興味のあるものに対して意識が集中し、その他のことには全く注意を払わないという特性を持っている。
・道路の反対側に母親を見つけると、車両の通行に関係なく車道に飛び出したり、警備員が停止の合図をしても、その腕の下を潜って前へ出ようとしたりする。

⑹ 安易な信頼の排除
・すべての通行車両が工事看板等を見て、徐行や車線を変更しながら進行してくるとは限らない。
・運転技術の未熟な運転者も少なくない。
・警備員は確実な根拠もなく、誘導の対象となる運転者の運転技術を過信してはならない。
・停止を求めた車両に対しては、その車両が完全に停止するまで注視を継続する。
・発進を求める場合は、運転者の技量の優劣に関係なく周辺交通の安全を確認してから合図を行う。

⑺ 退避場所の確保
・交通誘導警備業務を行う警備員は、原則として、安全が確保された場所 (歩道上、保安柵の内側等)に位置する。
・現場に応じて、常に周囲の状況を合理的に判断し、交通の妨害となるような位置や警備員自身に危険が生じるような位置を避け安全な場所で適正な誘導を行う。

ア.保安柵の内側等
・保安柵の内側であっても、工事区域の先頭は、暴走車両の突入が予想される極めて危険な場所である。
・とっさに危険を回避するための退避場所を確保しておく。
・警備員の周辺に交通誘導警備業務用資機材等があって、退避の障害となるような場所で誘導しない。
・旋回するパワーショベルや前進後退を繰り返すような工事車両の周辺で誘導を行うときは、作業車の回転半径内や作業区域内を避け、常に周囲を警戒、安全を確保し誘導を行う。

イ.保安柵の外側等
・保安柵等の内側で誘導を行うことが原則であるが、場合によっては保安柵等がない現場もある。
・やむを得ず保安柵等の外側に出なければならない場合もある。
・駐車場は、保安柵等がない場所において誘導を行うことになる。
・警備員の受傷事故を防止できる位置かつ警備員の位置が付近の交通の妨害とならない立ち位置を選定する。

⑻ その他の危険予知
・交通事故等に巻き込まれる原因には、警備員自身の不注意や経験不足のほかに、明らかに相手が悪いという場合やだれにもその責任を求めることができないというような場合もある。
・多くのケースは、あらかじめその危険を予知することで防げる場合が少なくない。
・誘導しようとする車両だけではなく、後続車両や対向車両、周囲の資機材、子供やお年寄り、動物の飛び出し他、あらゆるものに注意し誘導に当たる。
・多くの事故事例を研究し、事故の原因について理解し、様々な事故の要因を学び、受傷事故を防止する。

★「職場にはさまざまな危険がある」
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未熟練労働者に対する安全衛生教育マニュアル「警備業編」3
(1) ヒヤリ・ハット事例の活用【資料】
ア 「転倒」の事例
イ 「交通事故」の事例
ウ 「墜落・転落」の事例
エ 「はさまれ」の事例
【参考】 工事現場などで使用される特殊車両等
【参考】 交通誘導警備業務用機材

(2)労働災害事例の活用【資料】
道路拡幅工事で車両の誘導中にドラグ・ショベルにひかれる
炎天下の屋上駐車場で車両の誘導・整理の作業中、熱中症に罹る
警備会社の作業者が屋上の駐車場から自車専用エレベーターに誘導中、搬器から墜落
発電所の構内を自動車で巡回中、海中に転落
(3)その他労働災害事例(参考)

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◎警備員間の連携
・交通誘導警備業務は、複数の警備員で行うことが多い。
・相互に誘導の状況を確認しつつ、連携のよい誘導を行う。
・2人での誘導はどちらか一方が主導権をとり、意思表示の合図は事前に決めておく。
・3名以上の警備員で交通誘導警備を行う場合は、責任者を定め、その責任者の指示に全員が従う。
・各々の警備員がその連絡方法や資機材の使用方法を熟知し、相手からの合図を確実に受け取って安全を確認した後に、自分の側の誘導に当たる。
・手旗や誘導灯を警備員相互の合図に使用する際は、一般通行車両等から見て紛らわしい合図とならないよう実施する。

◎高速自動車国道等の緊急施設

⑴ 非常駐車帯
・故障車・緊急車両・道路管理車両等が停車することを目的に道路の左路肩に設置されている。

設置間隔は
・土工部・橋梁部で約200~300メートルごとに設置。
・トンネル内では、約750メートルを目安に設置。

⑵ 非常電話
・高速道路上での事故など非常事態発生時に使用、路側帯やトンネル内に設置。
・非常電話の受話器をとると交通管制室に直接つながり、通話ができる。
・高速道路の左路肩側に1Km間隔で設置。
・インターチェンジ、サービスエリア、バーキングエリア、バス停、非常駐車帯にも設置。
・トンネル内は約200メートル間隔で左路肩側に設置。

⑶ 緊急避難通路、緊急通路
・トンネル内に設置されており、緊急時に利用客が容易に避難できる設備
・避難通路には、避難坑と避難連絡坑の2種類
・避難坑は、本線トンネルとは別に避難用に作られたトンネル
・避難連絡坑は、トンネルが並走する場合に反対側のトンネルに退避できる設備。

⑷ 緊急開口部
・トンネル坑ロの中央分離帯に設けられた緊急駐車帯
・トンネルが不通となった場合などに、開口部を開放してUターンできるように設置された施設。

・以上の施設や設備は緊急時以外に安易に利用してはならない。

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