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交通誘導警備業務17「安全衛生活動」(指教責実務)

警備員指導教育責任者2号業務

◉安全衛生管理

◎交通誘導警備の現場における安全衛生活動

◯安全な作業方法について

ア 警備計画とその周知
・警備員に対して、警備契約書、警備計画書等に基づき行うべき警備業務の範囲を十分に把握させること。

イ 保護帽等の着用
・各種の工事現場において車両の交通等によって危険が予想される業務に従事する場合は、保護帽を着用させること。
・業務の状態に応じた安全靴を使用させること。
・業務を夜間に行う場合には、夜光性又は反射機能のある安全ベスト及び照度の十分な誘導灯を使用させること。
・夜間とは、安全確保の観点から、薄暗くなったときから十分明るくなるまでの時間帯を夜間と提える。
・昼間であっても気象条件の悪化によっては、随時夜間と同様の資機材を使用。

ウ 装備品、保安用資機材の周知
・交通誘導警備業務に使用する装備品(手旗又は誘導灯、警笛、トランシーバ等)の装着方法、使用方法、使用手順などの知識・技術を習得させること。
・保安用資機材(保安柵、セフティコーン、ラバーコーン、回転灯、衝突吸収緩衝材、各種表示板等)の使用方法、設置手順などの知識・技術を習得させること。

エ 特殊車両等の運転特性等の周知
・現場において使用される各種の特殊車両の運転特性(前進、後退、斜行、旋回、吊り上げ、牽引等)をあらかじめ周知させ、受傷事故を防止させること。

オ 関係法令の遵守
・道路交通法関係法令の規定を順守させ、法令違反となる誘導をさせないこと。

カ 保安用資機材の設置及び撤去
・保安用資機材の設置は、通行する車両の進行方向から設置し、撤去する場合は、進行方向の逆の地点から撤去させること。
・その都度左右の安全を確認し、通行車 両等による受傷事故の防止に努めさせること。

キ 保安用資機材の点検等
・道路工事現場等に設置した保安用資機材について、その設置場所、設置方法、破損箇所などの点検を励行させ、確実な維持管理に努めさせること。
・保安用資機材によって区画された工事現場内や、車道、歩行者通行路等の路面の状況を常に点検させること。
・保安用資機材のはみ出し、障害物や砂利等の放置等、事故の原因となる状況がある場合には、速やかに契約先等に報告するとともに、その状況の改善を図らせること。

ク 誘導位置の選定等
・誘導位置は原則として歩道上とし、やむを得ず車道において合図を行う場合には、車道の左側端又は設置された保安用資機材の内側に位置すること。
・対象車両及び他の車両の運転者、歩行者等から警備員の姿がよく見え、かつ、警備員自身からもよく見える位置を選定すること。
・路面の凹凸やぬかるみ等、転倒事故のおそれのある場所を避けた位置を選定すること。
・警備員自身が通行車両等の障害となるような場所に位置しないこと。
・対象車両とは適切な位置かつ安全距離を保ち、内輪差や外輪差を考慮した安全な位置を選定すること。
・対象車両から見て、警備員の後方に明るい光源があるような場所に位置しないこと。
・無謀運転車両の突入や資材の落下等に備えて、緊急時における避難スペースを常に確保しておくこと。
・対象車両の運転者の死角となる場所に入らないこと。
・工事用機械や工事用車両(クレーン車、ショベルカー、ブルドーザ等)の作業半径に立ち入ったり、旋回範囲内や吊り荷の下に立ち入ったりしないこと。
・交差点内や車両の出入り口等、複数の方向から車両等が進行してくる場所における誘導時は、対象車両のみならず、他の交通にも十分注意し、受傷事故防止に努めること。
・道路を横断するときは、信号機の信号又は横断歩道により横断すること。
・むを得ず信号機の信号又は横断歩道によらずに道路を横断する必要がある場合には、通行車両等による危険がないことを確認した後、速やかに横断すること。

ケ 合図実施上の留意事項
・停止、進行、徐行、その他の合図は、わかりやすく大きな動作で行い、不明確な動作は行わないこと。
・停止の合図を行う場合は、道路の中央や通行する車両の前面に飛び出してはならないこと。
・停止の合図はゆとりを持って明確に行い、特に、悪天候の際には車両の停止距離に十分留意し、安全確保に努めること。
・停止の合図を行った場合は、対象車両及び後続車両が確実に停止したことを確認するまで注視を継続し、また、停止した車両を発進させるまでは停止の合図を継続すること。
・特に夜間は、過労運転、飲酒運転、速度違反等による重大事故の発生が多いことに留意し、常に安全確保に努めること。
・住宅環境等により使用できない場合を除き、合図を明確に運転者等に伝えるため警笛又は拡声器を併用すること。

コ 交互通行による誘導
・交互通行時には、起点及び終点その他必要な個所の安全な場所に位置させ、相互に緊密な連携を保つように努めさせること。
・カーブ等の見通しの悪い場所においては、警備員相互の連携に支障が生じないよう にトランシーバ等の資機材を活用させること。
・自己の誘導する車両等を発進させる場合には、対向する車両等が停止していることを確認してから発進させること。

サ 後進車両の誘導
・後進車両を誘導する場合には、事前に右折又は左折の有無等について運転者と打合せを行い、運転者の死角に入らないようにし、音声又は警笛を使用して誘導すること。
・誘導方向に壁や他の車両等の障害物がある場合には、それらとの間にはさまれるおそれのある場所に立ち入らないこと。

シ 勤務姿勢等
・不意の危険に機敏に対処できるようにするため、ポケットに手を入れたり、上着の襟を立てて視界を狭めたりすることのないよう、常に服装及び姿勢、態度を適切に保持させること。

ス 休憩場所等
・事業者は休憩室、仮眠室、便所、食事場所、更衣場所を確保するよう努めなければならない。
・場所の確保ができない場合は、使用できる場所を事前に調べておく等の対処をすること。

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◯警備員の健康管理
・交通誘導警備業務は、基礎体力や精神的緊張の持続を要求される。 
・軽度の業務しか要求されていない現場であっても、警備員自身が極度の精神的緊張を感じている場合もある。 
・警備業者は、警備員に対し、自身の健康管理に留意させ、規則正しい生活のリズムを自ら維持させるよう指導する。 
・警備業者は、警備員が自ら体調等について遠慮なく申し出ることのできる窓口を社内に設ける。
・警備業者は、警備員の体調に不調がある場合には、勤務日程を適切に調整、管理する。

◯高年齢者に対する配慮
・年齢や健康状態に応じた適正な労働時間を設定すること。
・作業時間の編成にあたっては、ローテーション編成を確立し、小休止時間がとれるように配慮すること。
・共同作業にあっては若年者と高年齢者を組み合わせた職場編成とすることが望ましい。
・高年齢者の身体特性に応じて、高所作業、重量物運搬作業及び深夜作業に就労させる ことがないように努めること。

◯長時間労働について
長時間労働となる可能性がある警備員等としては、現場の責任者や現場の責任者を直接管理している管理者が想定できる。
警備員が長時間労働となっているか否かを 把握することは、会社の責任であるから、出勤簿等により出勤状況、労働時間を正確に把握することが必要である。
管理監督者であっても労働時間の把握・管理は会社が把握しておく義務がある。

◯セクハラ、パワハラについて
セクハラ、パワハラについて留意することは、本社・支店等の会社の管理部門での状況把握も必要であるが、本社・支店等の管理が十二分に行き届かない「現場」においても発生していないか、把握することが重要である。

◯警備員等の安全への配慮
・労働契約法の第5条「労働者の安全への配慮」には当然に「精神的なことも含まれる」 こととなっている。
・このことは、警備業界においても例外とはならないので、事業者は業務上のけが、病気、そして心の病に対しても防止責任を持たなければならない。

出典
厚生労働省ホームページ(https://www.mhlw.go.jp/index.html)
未熟練労働者の安全衛⽣教育マニュアル「厚生労働省」(https://www.mhlw.go.jp/content/000611912.pdf)
中央労働災害防止協会ホームページ(https://www.jisha.or.jp/index.html)
警備業における労働災害防止のためのガイドライン(https://www.jisha.or.jp/research/report/201303_02.html)

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