雑踏警備業務2級検定項目
(令和版)
第3章 雑踏の整理に関すること
第3節 人の誘導その他の雑踏の整理を行うため必要な事項に関する専門的 な知識
2 祭礼、花火大会等行事の態様別の警備形態の特徴
- イベント等の特徴を理解し、適切に対応することが求められる。
- 近年、イベント等の種類によっては多言語対応やテロ対策が必要になる場合がある。
⑴ スポーツイベント
- 開催される競技によっては、試合観戦約款や会場管理規程などのルールが定められている。
- 開催期間は、1日で終わる場合、長期間にわたり開催される場合などさまざま。
- 熱狂的なファンが多く集まる場合は、言い争い等から暴動に発展してしまうおそれがある。
- プロスポーツの公式戦が行われる専用施設では、ファンが施設の構造を知っているため、迂回退場などの協力要請が受け入れられずに観客が勝手に行動してしまう場合がある。
⑵ 花火大会
- 花火大会は、河川敷や公園等、周囲に大きな建物がない場所で行われ自由に観覧できる、また、有料席などを設ける場合もあります。
- 開催時間は、夕方から夜間にかけて限定された短時間で開催されることが多い。
- 観客は、高齢者から子供まで多岐にわたり、外国人観光客の来場も多い。
- 露店が立ち並び、通路の幅員が狭くなり歩行の障害になりやすい。
- 露店商は、許可を得ているものと無許可のものが混在することもある。
- 花火の打ち上げが終了する直前、直後が最も危険な時間帯である。
- 花火の打ち上げ時間中は、群集の動きが止まる時間帯であるが、中には移動しながら観覧する者もいる。
- 会場周辺では、交通規制が実施される場合が多く、道路状況や花火大会の進行状況を正確に把握する必要がある。
- 天候に大きく左右されるため、急な中止などの対応も考慮しておく必要がある。
⑶ コンサート
- コンサートは、人気歌手など熱狂的ファンが集まるものやクラシック音楽など静かに楽しむ演奏会など様々な内容がある。
- 開催場所には、屋内や屋外があり、また、会場は専用会場と仮設会場がある。
- 通常は他の目的で使用されている場所を、会場として一時的に使用する場合がある。
- 専用会場は、会場管理規程などのルールが定められている。
- 熱狂的なファンや静かな聴衆など、参集する観客によって、対応要領が大きく変わる。
- 内容によっては、昼の部と夜の部など1日で数回公演されることもあれば、数日に渡って開催されることもある。
- 屋外で開催される場合は、騒音やゴミ等の苦情、雨天時の対応要領も把握しておく必要がある。
- 多数の群集が一度に退場する終了直後が最も危険。
⑷ パレード・マラソン
- パレードは、祝賀行事として限られた場所及び期間で行われるのが一般的。
- マラソンは、国際大会、市民大会などその規模により参加者の人数が大幅に変わる。
- 開催場所は、一般の道路等であり、演技者や競技者が移動しながら行われる。
- 演技者や競技者の移動に合わせて追随する者もいるため、注意が必要。
- 交通規制の実施に伴い、迂回案内や通行止めを行うため、道路状況や進行状況を正確に把握する必要がある。
- 開催場所への立入り防止やパレード等に対する妨害行為を防止するため、些細な変化や兆候を見逃さないこと。
- 状況によっては、道路の横断禁止や歩道橋の通行規制等を行う。
⑸ 公営競技
- 公営競技は、競馬、競輪、競艇、オートレースなど。
- 国や自治体の収入源であり、開催期間は競技によって様々、一般的に通年で実施される。
- 熱狂的で換金を主目的とするファンとレクリエーション気分の娯楽客に分けられるため、来場者を見極め、適切な対応を行う。
- 熱狂的なファンによる言い争い等から暴動に発展してしまうおそれがある。
- シャトルバスを運行している場合は、乗降場における案内が必要。
⑹ 博覧会
- 博覧会は、各地域で行われ、内容や規模も多岐にわたり、国際的な万国博覧会が開催される場合もある。
- 専用の会場を使用する場合、観客の通行に影響がないよう、各施設の整列させる場所を確保する。
- 開催期間は、数日から数ヶ月間行われるため、来場者の状況も平日と土日、祝日とでは大きく変わる。
- 遺失物の取扱い、迷子や負傷者の対応に加え、脅迫電話への対応、台風や地震等の自然災害など、あらゆる事象に対応する必要がある。
- 会場入口付近では来場者の駆け込みによる雑踏事故の未然防止対策を実施する。
⑺ 祭礼
- 祭礼は、神社などで行われる祭りや儀式で初詣や節分などがあり、参集者の年齢層や開催季節も様々。
- 初詣や節分などは毎年同じ場所で同じ時間帯で行われることが多く、暗黙のルールが周知されている反面、参集者の危機感が乏しくなる。
- 初詣の群集の中には、着物を着用しているなど、素早い動作ができない者も多い。
- 参集者には、高齢者や子供、飲酒をしている者もいることから事故防止を考慮した対応が必要。
- 季節的に行われる神輿や山車は、移動しながら練り歩くため、観客と関係者を明確に分け、神輿等の通路に観客が立ち入らないようにする。
- 状況によっては、一方通行規制や行き帰りの動線を明確にする誘導や広報が必要となる。
⑻ 大型ショッピングセンター
- 都市型や郊外型、多種多様な複合施設があり、新規開店、リニューアルオープン、休日には多くの来店客が集まる。
- 開店前や特定日の場合は、来店客の駆け込みによる雑踏事故の未然防止対策を実施する。
- 開店前に来場した人を整列させる場合は、並んでいることが明確にわかるように案内を行う。
- ー時的に収容可能数を超える人が訪れる可能性もあり、的確な広報や案内が重要。
- 収容可能数を超えるおそれがある場合には、入店規制等の対応が必要。
⑼ 駅
- 駅の構内でイベントが開催されたり、イベント会場の最寄り駅であったりすると多くの人が集まる。
- ホームが混雑すると線路への転落事故の未然防止対策として広報が必要。
- 状況によっては、駅職員と協力して、混雑緩和対策や流入規制などの対策が必要。
- 転落事故発生時に直ちに対応できるように、列車非常停止ボタン等の設置場所を確認。
関連過去記事
行事等の態様別の警備形態の特徴その1
行事等の態様別の警備形態の特徴その2
行事等の態様別の警備形態の特徴その3
参考資料
兵庫県警察ホームページ(http://www.police.pref.hyogo.lg.jp)
雑踏警備の手引(https://www.police.pref.hyogo.lg.jp/zattou/index.htm)
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